2018年9月24日

向島百花園

 向島百花園(東京都墨田区)に初めて行った。行ったというよりも、立ち寄ったといった方が良いだろう。それにしても、まいった!

 墨田区堤通の、ある運送会社を取材で訪ねた。最寄り駅は東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の東向島だ。東向島駅から取材先に向かって歩いて行くと、ちょうど中間ぐらいのところに向島百花園がある。そこで、取材が終わった帰りに立ち寄ったのである。

 入口のところに入場料が一般・個人150円と書いてあった(それしか見なかった)。小銭がなかったので千円札を窓口に出したのだが受け取ろうとしない。あれ? と一瞬の間があった。すると窓口の女性の人が、何か言いにくそうにしている。こちらも、よくわからずに不思議がっていると、印刷した紙を示しながら、小さな声だったので正確には聞き取れなかったが、おそらく「失礼ですが、こちらに該当しませんか」といったのだと思う。

 そこで紙をみたら、要するに60歳以上は無料と書かれてあるように観えた。観えたというのは、あまりはっきり読んだわけではなく、瞬間的に「あぁ、そういうことだったのか」と解釈したからである。そこで「ありがとう」といって千円札を引っ込めて園内に入った。

 パンフレットによると、向島百花園は文化・文政期(1804~1830年)に骨董商を営んでいた佐原鞠塢(きくう)によって造られた庭園とある。1938年(昭和13年)に東京市(当時)に寄付され、翌年から有料公開が始まった。現在では国指定名勝・史跡になっている。1万885㎡の開園面積には、年間を通して様ざまな花が咲いている。また、芭蕉の句碑をはじめ、計29の句碑、石柱などが建っている。

 なお、後でパンフレットを見たら65歳以上の一般・個人は70円と書いてあったので、どうして無料だったのかは分からない。それにしても、歳はとりたくないものだ。

2018年9月17日

リーマンショックから10年

 2008年9月15日のリーマンショックは世界中に大きな衝撃を及ぼした。早くもあれから10年である。

 リーマンショックは日本にも様ざまな影響をもたらした。とくに自動車産業などは大幅な減産に追い込まれた。自動車部品を運んでいるある中小事業者は、前年度の売上高が創業以来の最高だった。しかし、一気に約4割ほど落ち込んだ。当然、輸送量の減少も約40%である。同社はそれをどのように乗り切ったのか。それまで自車両輸送が6に対して傭車(下請けへの外注)比率が4だった。そこで長年の取引だが、やむを得ず傭車先との契約を解消することで、売上は減少したが、雇用を維持しながら何とか乗り切ったのである。

 割り切って言えば、下請けはこのような時のためにある。もちろん外注の方がコストダウンできるという面もあるが、同時に需給調整の役割をもっている。同様にリーマンショック後は、派遣切り(雇い止め)が社会的な問題になった。非正規雇用労働者との契約解消である。これもハッキリ言ってしまえば、非正規雇用労働者は安い人件費で働かせるとともに、景気調整のために存在するという本質が露骨に顕れただけである。

 厚労省の資料によると、2008年の非正規雇用労働者は1765万人だったが、2017年は2036万人で、15.4%の増加だ。正規雇用労働者は08年が3410万人で17年は3423万人と0.4%しか増えていない。これが昨今の「人手不足」の中身である。

 「アベノミクス」の柱の1つである金融緩和では、日銀の上場投資信託(ETF)を介した株式の保有残高が25兆円を超えているという。今の株価は日銀に買い支えられているともいえるが、永続するものではない。さて、これから何ショックが起きるのだろうか。

2018年9月10日

災害列島と物流

 先週は台風21号が過ぎたと思ったら北海道で大きな地震が発生。こんな大きな地震が北海道で起きたのは初めてではないか。

 地震が発生した翌日の7日18時から都内である会合があった。北海道から参加予定の2人のうち1人は再開した飛行機に乗ることができ、19時頃に参加できた。だが、もう1人はムリをせずに欠席することにした。

 それにしても台風21号による関西空港の被害や、それに先立つ西日本豪雨によるJR西日本の被害など、インフラのダメージは国民生活や経済活動などに大きな影響を及ぼす。とくに今回の北海道地震ではほぼ全道的に停電になった。北海道電力のエリアのほとんどが停電になるといったことは、前代未聞である。

 人的、物的な直接的被害はもちろん大変だが、スムースな人流や物流にも支障をきたす。物流だけをみても、停電が長期化すると冷凍商品の保管などができなくなってしまう。そして、道路や鉄道が被害をうければ物が運べない。西日本豪雨では鉄道が大きな被害をうけたので、山陽線で運んでいた鉄道コンテナは、トラックや船舶による代行輸送を余儀なくされている。また、名古屋~福岡では伯備線~山陰線~山口線経由の迂回運転も行われるようになったが、連結できる車両などの制約もあるので以前と同じ数量のコンテナを運べない。そのため、トラックでの代行輸送で苦労している物流事業者もいる。

 同じように北海道でのインフラの被害は、一大産業である酪農や農業に、大きな影響がでてくるだろう。物流が止まれば産地から市場への供給が出来なくなるからだ。その結果、生産者だけではなく消費者も被害に遭うことになる。

2018年9月 3日

若い起業家

 若い起業家に会って話を聞くと刺激的で楽しい。先週もそのような機会があった。この起業家はデジタルでコネクトする物流のオープンプラットフォームの構築を目指し、2015年6月に会社を設立した。

 なにしろデジタルな世界の話なので理解するのに苦労する。電話やFAXはもとより、いまやEmailもアナログと考えているという。それでも時間をかけて話を聞けば概略はそれなりに理解できる。いや、理解したつもりになれる。

 少なくともこれまで聞いた物流プラットフォーム構想の中では1番優れていると感じた。それは、SCM全体を包括的にとらえ、同時に物流現場の実態もそれなりに分かった上で「運ぶを最適化する」ために取り組んでいるからである。

 全体の仕組みは発荷主、3PL、実運送、着荷主を共通IDで繋ぐという構想だ。しかも、ドライバーが使う端末は、スマホだけではなく、ガラケイでも可能にしているという。アプリケーションとしてはバース管理、動態管理、求車などとしても利用できる。

 肝心な採算はまだである。今後も、いつまでに採算が取れるようになるといった計画は持っていないという。そのくらいに構えていないと、イノベーションはできないという考え方だ。また株主たちも、それを理解して投資している。

 このような話を聞くと刺激的で参考になる。

2018年8月27日

103-100=3

 第100回全国高校野球選手権記念大会が終わった。優勝校は大阪桐蔭で、史上初の2度目の春夏連覇である。それはそれで大変な記録だが、自分には準優勝の金足農業高校のほうがずっと強く印象に残った。大阪桐蔭が勝ってもさほど驚きはない。「やはり勝ったの。そうだろうね」という程度の受け止め方だ。それに対して金足農高は、準優勝でも「へぇ~、大したものだ」と思う。

 これにはいくつかの理由がある。①甲子園出場校では数少ない公立高校であること=予算や練習環境などで私立校には及ばない、②地元出身の選手たちであること=全国から有望な選手を集めれば強くて当然、③農業高校であること=日本の産業における農業の位置づけや営農環境の現状などから、である。

 このようなことから(無意識かもしれないが)、金足農高を応援した人は少なくないはずだ。「日本農業新聞」も連日のように報道し、21日には電子号外、22日づけは1面トップだったという。同紙の報道ぶりをテレビで観たが、『金農』という大きな見出しの文字を、一瞬、『全農』と錯覚してしまい、すぐに気づいて苦笑した。

 ところで、秋田勢が決勝まで進んだのは、1915年の第1回大会(全国中等学校優勝野球大会)における秋田中学(当時)以来という。つまり金足農高は100回記念大会で、秋田県から103年ぶりに決勝にまで進んだ。この103-100=3こそ、100回記念大会を象徴する数字だと思う。「3」という数値の重みである。

 「3」という空白の間に、全国大会出場という夢を奪われた野球少年たちがたくさんいた。夢だけではなく命すら失った若い人たちもいたのである。このような意味で、103-100=3こそ、金足農高がもたらした最大の功績のような気がする。100年後の200回大会は203-200=3のままであってほしい。

2018年8月20日

引っ越し過大請求

 「物流コラム」なのに物流のことをほとんど取り上げていない。仕事ではいろいろな媒体にけっこう書いている。そのために、早い話がここで書くようなネタが残っていないのである。だが、たまには物流に関することも触れないといけないだろう。

 周知のようにヤマトホームコンビニエンスの過大請求がニュースになっている。昨年の宅配便のサービス見直しと料金値上げも、未払い残業代を巡って訴訟が起こされたことが、そもそもの端緒になっている。今回の過大請求問題も内部告発から明るみに出たものと思われる。だが、あれだけの営業所で過大請求していたとなれば、外部からは会社ぐるみと観られても仕方がないだろう。

 過大請求を可能にし、また支払者側がそれに気づかなかったのは、企業引っ越し固有の構造的な理由がある。企業引っ越しの場合、実際に引っ越す個人(転勤になった社員おびその家族)と、料金の支払い者(会社が支払う)が別になっている。企業が引越事業者と契約(単独契約と複数契約がある)し、転勤する社員にその事業者を紹介する。単独契約なら社員は指定された事業者と交渉、複数契約なら紹介された事業者の中から社員が自分で委託事業者を選ぶ。

 しかも、たいていの場合には企業の担当者が引っ越し荷物と見積もり金額などをチェックする手間暇を、引っ越す本人に任せている。たしかに大企業では新年度に何百人、何千人と一度に異動するので、それをチェックするだけでも大変な労力を要す。そこでチェックは本人任せになっても仕方がないが、これも現場と決済の乖離を大きくする要因の1つになっている。

 さらに、引っ越す本人と引越事業者の間では、見積依頼も見積金額の提示も、メールでのやり取りが主になっているのが実態である。転勤が伴うような企業、またその社員は電話などよりもメールでやり取りするのが当たり前の日常になっているからだ。さらに引越事業者側では、料金体系がパック料金になっていることもある。

 このような企業引っ越し固有の構造をみると、ヤマトに限らず他の引越事業者でも、同様の問題が全くないとは言えない。もちろん、だからといって過大請求が免責されるわけではない。

2018年8月13日

気づいたら独裁

 最近は連日のように日本ボクシング連盟のニュースが報じられている。報道されている内容によると、信じられないほどお粗末過ぎる。しかし、第三者としては、たしかに面白いことも事実だ。

 辞任を表明した山根明前会長の発言は非論理的だが、強面でワイドショーや週刊誌が取り上げるには恰好のキャラクターである。それに知能犯的ではなく、単純な不正なので、視聴者(読者)に分かりやすいのもネタとしては良い。

 だが可哀そうな犠牲者は現役のアマチュアボクサーだ。一所懸命に練習に励んでいる人たちにとっては迷惑な話である。とくに、判定にまで介入していたとするなら、もはやスポーツとは言えない。

 不思議なのは、なぜこんな状態になってしまったのか、である。山根前会長の責任はもとより、それを容認していた理事たちの責任も重い。山根前会長だけが前面に出ているが、陰に隠れている理事たちも同罪である。

 それにしても、文部科学省の管轄だろうが、よく一般社団法人として認可した(認可し続けた)ものだと不思議に思う。もっとも最近は、民間企業と同じ営利事業をしていても、一般社団法人にしているケースが増えてきた。一見、公的な事業のように錯覚させることができ、税制的にも優遇されるからである。

 それはともかく、一般社団法人で「終身会長」なんて驚いた。このような独裁体制にしてしまったのは理事たちの自己保身、それは同時に個人的利益のためだろう。アマチュアボクシング界のことなど眼中にないのである。

 だが、けっして他人ごとではない。議員センセイ方が国民や国家よりも自己保身に走れば、日本という国が独裁国家にならないとは限らないからだ。そのうち「終身総理大臣」なんてことにならなければ良いが‥‥。

2018年8月 6日

火星接近と迷信

 先週はいろいろなことがあった。総じていえば「非生産的」で、ついていない1週間だ。

 15年ぶりに火星が地球に大接近というニュースをテレビで観ていた。次に接近するのは17年後だという。それならと夜空を見上げたら、たしかに南の方に大きく輝いている星がある。やや赤みがかっているので、あれが火星だなとすぐに分かった。

 災難は翌日から始まった。スマホからEメールが開けなくなってしまったのだ。OCNのトップページは開けてメール以外は問題ない。メールだけが「セキュリティ警告」がでて先に進めない。外出先でメールを確認することができないので困ってしまう。

 そこでドコモショップに行ったら何と3時間待ちである。それでも仕方がないので待ちながら様子を見ていると、操作などの相談者より新規契約の相談者が優先的に応対してもらっているように感じた。

 やっと順番がきたのだが、スマホの操作ではなく、プロバイダーの問題だろうということだった。そこでOCNに連絡して状況を説明すると、それに対応できる担当者が今日は予定がいっぱいとのことで、翌日、先方から電話をくれることになった。

 翌日、電話があり、あれこれ言われた通りに操作をしてもダメ。パソコンではメールが開けるので、スマホのセキュリティ設定の問題だろうということになった。再びドコモショップに行くと、前日も来ているということですぐに応対してもらえた。だが、やはりダメで担当者も原因が分からないという。仕方がないので、違うプラウザからOCNのトップページを開いてメールを開くようにした。

 翌日は朝の8時半に北関東地方のJRのある駅で待ち合わせである。9時から10時の間しか時間が取れないというので、朝早く家をでて向かっていたのだが、あと20分ぐらいで待ち合わせの駅に着くという所で、人身事故のため電車がストップ。しばらくの間、再開の予定が立たないとのことで、結局、取材をキャンセルするしかなかった。

 火星が接近すると戦争になるという説があるようだ。たしかに「貿易戦争」の様相をおびてきた。そして個人的には火星接近と災いが関連していると思いたくなってしまう。だが逆に、火星が遠のくにしたがって幸いがやって来ると信じることにした。

2018年7月30日

熱暑の懸念

 記録的な猛暑が続き、さらに過去になかったような進路をとる台風の襲来と、日本列島は迷惑な「初めてづくし」の夏である。このような中で最近は、2年後のオリンピック・パラリンピックを懸念するような話題が日常会話の中で上るようになってきた。

 開催時期が秋ではなく夏になったのは、スポンサー収入との関係といった話も聞く。それはともあれ、何よりも選手が大変だ。観客だって暑さ対策をしないと救急搬送が続出といった事態にもなりかねない。けっして良いことではないが、救急車がスムーズに走れるようにするにはどうするか、といった対策も必要になる。

 暑さ対策で競技開始時間を早めたとしても、たとえばボランティアの人たちは開始時間よりも前にスタンバイしなければならない。すると、公共交通機関を通常よりも早く運行するようにすることが必要だ。早朝から深夜までの観客の移動の足の確保も同様である。

 どうしても物流関係者と会って話す機会が多いので、オリ・パラでの懸念も必然的に物流に関するものになるが、人流、物流とも前回のオリンピック当時とは条件が大きく違う。

 たとえば日本の名目GDPを比較すると、1964年は29.5兆円だったが、2012年では479.8兆円になっている。これは名目GDPなので、1つの目安として消費者物価指数による物価水準を比較すると、1964年を1として2013年は4.18なので4倍以上だが、経済規模の違いは歴然としている。また人流、物流への影響と深く関わるので東京23区における人口を比較すると、住民基本台帳等人口調査要綱によれば、1964年1月時点では874万人だったが、2018年1月では948万人にまで増加している。

 先日、ある大学教授がオリ・パラ開催期間中の都心部における宅配便規制をどうするかを考えなければならなくなった、と話しかけてきた。そういわれても当方としては「それは難問ですね」としか応えようがない。これから日本の夏はどうなっていくのか、そして2年後のオリ・パラは大丈夫なのかなど、暑くて考えるのも嫌になってくる。

2018年7月23日

暑中撮影

 毎日まいにち猛暑が続く。この世に生をうけて物心ついてから今日までの、わが生涯で最も暑い夏のような気がする。もっとも来年になると、今年の猛暑を凌駕することになる可能性が高い。これからは年ねん猛暑の記録が更新されて行くのではないだろうか。

 連日の暑さの中、牛久シャトー(茨城県牛久市)に行ってきた。昨年は土浦城址の櫓門だったが(当コラム2017年10月30日づけ)、今回は牛久シャトー本館(国指定重要文化財)を茨城県トラック協会発行のPR誌のイメージ写真に使うための撮影である。同グループ本社の広報に、事前にその旨の了解をとっての撮影だが、スタッフを引き連れての大掛かりなものではなく、自分1人で写真を撮るだけなので、現地でのあいさつはいらないとのこと。一般入場者としての扱いなので気楽で良かった。

 牛久シャトーの旧醸造場施設3棟は、わが国における最初期の本格的ワイン醸造施設として、国の重要文化財に指定されている。中でも本館はシンボル的な建物だ。園内にはワインセラーやショップもあり、オリジナルワインをはじめ世界各国のワインを販売している。またレストランが2つ(うち1つは国指定の重要文化財)と、バーベキューガーデンもある。

 写真撮影は手抜きしないが、一段落したら息抜きをする。仕事と夏休みを同時にしているようなものだ。

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