スクープ
五味洋治氏が文藝春秋から上梓した『父・金正日と私 金正男独占告白』を読んだ。北朝鮮では金正日氏が逝去し、三男の若い金正恩氏が「三代世襲」した。そのような中で、長男の金正男氏とのインタビュー7時間、メール150通を基に書かれた同著は、帯のフレーズの通り「世界的スクープ」といえる。
一般的には他に先駆けたニュース(新しい出来事:以下同義)がスクープと思われがちだが、通常では会えない人を取材したり、時間をかけて事の真相に迫るインフォメーション(情報:以下同義)もスクープである。ニュースの速報性では新聞などの活字(印刷)媒体から、ラジオやテレビの放送になり、現在ではインターネットの通信へと変遷してきた。そのような中で活字が価値を発揮するのは、ニュースではなくインフォメーションである。
ニュースの構成要素は5W1Hと言われるが、速報性だけなら「誰が」「どうした」だけでも通じる。それに対して「なぜ」「いかに」をじっくり掘り下げたものがインフォメーションと小生は解している。個別事象を取り扱っていても、インフォメーションには普遍性が含まれており、一般に共通する教訓や示唆がある。したがってニュースと違って一過性ではない。
同著を読むと金正男氏は客観的に物事を判断できる人だと受け止めた。本人は「王子とこじき」ではないと言っているようだ。しかし、中国の思惑が背景にあることは否定できないし、資金的な裏付けも不明だが、頭が良い人だけに日本的にいえば大石内蔵助を演じているのでは? などとつい深読みをしたくなってしまう。
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