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2012年3月19日

経験という価値の下落

この時期になると上場会社など大手企業の新社長の発表が増える。最近の傾向をみると、オーナー経営ではない大手企業でもトップの年齢はバブル崩壊以前と比べるとかなり若くなっているようだ。

 バブル期までは、サイクルとしての好不況はあっても、トレンドとしては経済が拡大していた。景気波動はあっても、経済構造としては連続性があり、経験という価値が高かったのである。したがって高齢の経営者の経験が生きた。

 だがバブル崩壊によって経済構造は大きく転換した。国内市場は停滞ぎみとなり、経済のグローバル化が進展した。そこで国際感覚をもった経営者へと交代が進んだが、グローバル化はそれ以前から進行していたので、その点ではまだ連続性があったことになる。そこで経験という価値はまだ高値を維持できた。

 ところが最近では、グローバル化に加速がつき、一方では国内市場の縮小が顕著になってきた。グローバル化と国内市場の縮小というこの傾向は、今後、一そう速度をましながら進行していくだろう。

 問題は国内市場の縮小である。これは戦後の日本が経験したことのない未知の世界だ。つまり非連続である。そうなると経験という価値は、無にはならないが以前よりも下落する。新しい発想や柔軟な対応力をもった若い経営者の方が良い。社長の若返りはそのような反映ではないか。

 と、すると小生もそろそろ引退か? いや、それは困る。一般論として述べたのであって、何事にも例外はある。柔軟性が重要なゆえんだ。

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