燃料価格高騰
5月15日にトラック、バス、ハイ・タクの業界団体と、交通運輸関係の労働組合などによる「燃料価格高騰による経営危機突破全国統一行動」が全国各地で行われた。燃料を購入して消費することで事業を営んでいる業界の労使の一斉行動である。筆者は当日、関東ブロックの会場である日比谷公会堂に行った。
今後、燃料価格がさらに高騰するような事態になると、燃料販売会社では供給抑制つまり「売り惜しみ」などをすることも予想される。すると、燃料を購入する交通・運輸会社では仕事に支障がでてしまうので、少なくとも前年並みの燃料を保証しろといった主張をするだろう。それに対して販売会社側は、前年通り販売しているではないかと反論するものと思われる。
実は、この両者の言い分はどちらも間違いではない。購入する交通・運輸会社からすると前年並みは燃料の「量」を意味する。だが、燃料販売会社では売掛金すなわち「与信」を基準にしているのである。交通・運輸会社は燃料がなければ仕事にならないので、量の確保は必須である。一方、燃料販売会社は、サーチャージなどで燃料高騰分を顧客に転嫁できていない交通・運輸会社は回収リスクが高い取引先ということになる。それだけではなく、燃料販売会社自身も元売りへの支払額が増加する、という構造になっている。
いうまでもなく日本は中小企業が多い。そして、大企業からの一方的な単価引き下げなどに耐えながら、中小企業は日本経済を陰で支えている。中小の交通・運輸会社も、中小の燃料販売会社も同様である。この両者の言い分がどちらも正当であるならば、前述のような問題を解決できるような制度などを考えるのが政治の役割であろう。
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