めぐりあわせ
数日前に古くからの知人からメールがきた。最近の会社の経営状況やご本人の近況などとともに、弟さんについても簡単に記されていた。ここ1年数カ月の間、連日のようにニュースで取り上げられている某社に勤務しているが、今回、社外からの取締役が多数になる中で、社内からの少数の取締役の1人に内定したという。出身大学からみても将来は役員になるだろうと筆者も以前から予想はしていたが、現実のものとなった。普通ならお祝いすべきだが、はたして喜ぶべきかどうか...。実兄としては複雑な心境と書かれていた。
企業の人事には、運・不運といっためぐりあわせがある。たとえば大手企業の支社で過去の不祥事が露見したとすると、それが何代も前の支社長当時の問題であっても、現在の支社長が批判や追求の矢面に立たされ、何らかの責任を取らざるを得なくなる、といったことがある。現在の支社長からすれば不運なめぐりあわせと受け止めるしかない。
トラック運送業界でも経営者の若返りが進んでいる。何月から社長を交代するとか、2年後あるいは3年後に子息に社長を譲るとかといった話を事前に聞くことがある。あるいは、この前会った時には専務だった人が、最近会ったら社長になっていた、というケースも珍しくない。そんな時には、「おめでとうと言うべきか、大変だねというべきか」といってお互いに笑うことがある。
いまは経営環境が厳しい時代である。今後はさらに企業のかじ取りが難しくなってくるだろう。そのような中で経営トップになるのは大変なことである。オーナー経営の企業では、ほとんどの場合、子息に社長を継がせるのが既定路線といえる。しかし、困難な時代に社長を継承する方にとっては、これも宿命と受け止めるしかないだろう。
どのような時代、どのような諸条件の下でも、めぐりあわせの中で全力を尽くすしかない。
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