安全政策の昨今
報道によれば、大阪市西成区でワゴン車を暴走させ、6人に重軽傷を負わせた容疑者の尿から覚醒剤が検出されたという。その他にも違法薬物を吸引して事件を起こしたというニュースが最近は多くなってきた。
24年前の7月のこと。ある中小トラック運送会社の経営者が、自社の従業員に覚醒剤を販売していたとして逮捕されたことがあった。さっそく警察署にいって副署長に取材した。その時の話では、若い従業員たちが長時間の深夜労働でも疲れないと、覚醒剤を買って働いていたという。警察署で話を聞いた後、その事業所を訪ねた。まだ梅雨明け前で雨が降っていたことを覚えている。
事業所には誰もいなく事務所は閉まっていた。近所の住民の人たちの何人かに話を聞いたら、従業員の人たちは良い人ばかりで、みんな真面目に夜遅くまで働いていたという。「まさかあの人が...」というが定番のようなコメントである。事業所の敷地をうろついていたら、ある中堅事業者が下請けとして使っていたことを裏付ける物証を見つけたので写真に撮った。そして、その中堅事業者の当該営業所に取材を申し込んだのだが、案の定、取材を拒否された。
1995年にアメリカの個人トラックを取材したとき、運送会社の数社から契約書のコピーを入手した。どの会社も通常の契約書の他に、安全政策についてもオーナー・オペレーターと文書で交わしている。その文書の中にドラッグ・テストという項目があった。それを見て、いかにもアメリカらしいな、と思ったものである。当時の日本の運送業界の状況からすると、遠い海の向こうの世界のことだったからだ。
しかし、昨今の社会状況をみると、旅客、貨物に関わらず運送会社はアルコール・チェックだけでなく、ドラッグ・チェックも必要なのではないかと思うようになってきた。
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