中型免許
トラック運送業界や関連業界の大きな課題の一つに「中型免許」がある。しかし、一般の人で自動車運転免許に中型免許があるのをご存じの方は少ないのではないだろうか。免許制度の改正で中型免許が施行になったのは5年前の07年6月からだ。
従来は普通免許で最大積載量5t、車両総重量8t、乗車定員11人まで運転することができた(それ以上は大型免許)。ところが中型免許ができてからは、普通免許で運転できるのは最大積載量3t、車両総重量5t、乗車定員10人までとなり、受験資格は18歳以上である。新設の中型免許で運転できるのは最大積載量3t以上6.5t未満、車両総重量5t以上11t未満、乗車定員11人~29人で、受験資格は20歳以上(経験2年以上)である。それ以上が大型免許となり、受験資格は21歳以上(経験3年以上)である。なお、制度改正前の普通免許取得者は「限定中型免許」として最大積載量5t、車両総重量8t、11人まで運転することができる。
トラックの2t車でも、車両総重量などの関係で普通免許で運転できる車両は少ない。ほとんどの2t車は中型免許が必要である。そこで07年6月以後に運転免許を取った人は、高校を卒業して就職しても、すぐに乗れるトラックが非常に少ない。20歳になって中型免許を取らなければほとんどのトラックには乗務することができないのである。このようなことから、トラック運送業界では普通免許で運転できる範囲を拡大するように、と関係方面に要望している。
ところが、高校の就職担当の教諭なども同じような要望をしていることを最近知った。運送以外の業種の会社に就職した卒業生でも、仕事で会社の自家用トラックを運転するようなことがある。運送に関係のない会社では、経営者や管理者が中型免許を知らない人も少なくない。そのため高卒新入社で普通免許しか持っていない社員に中型免許でなければ運転できない車両に乗務させたりすることがあるというのだ。あるいは自動車整備などの会社では、整備する車両を引き取りにいったり、納車にいくことがあるが、普通免許では運転できない車がある。
このようなことから、中型免許ができて以降の求人に変化がみられるというのだ。もちろん、変化の理由を中型免許と特定することはできないが、一因だろうと推測できるような変化が感じられるという。このようなことから、高校の就職担当の教諭なども、文部科学省を通して中型免許の見直しを関係省庁に要望している。
意外なところに、共通する課題を抱えている人たちがいるものだ。人材を送り出す側と、人材を受け入れる側の連携も可能だ。
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