せめて十年の計
先週、外尾悦郎さんをかこむ会に出席した。ご存じのように、外尾さんはサグラダ・ファミリアで「生誕の門」の扉の制作責任者をしている有名な彫刻家である。前回に帰国した時にもかこむ会の案内をいただいたが仕事の関係で出られなかった。そこで今回は参加させていただいた次第である。
当日は建築家、画家、デザイナー、コンサルタントなど多彩な方々が30人ほど集まった。NHKのチーフ・プロジューサーの星野真澄さんも途中から参加された。星野さんはBSプレミアムのディレクターとして長期密着取材をし、「外尾悦郎、ガウディに挑む」(NHK出版新書)という著書も出版している。外尾さんいわく、同著には「実際の自分よりも良く書かれている」。
サグラダ・ファミリア教会は、ガウディが設計して着工してから130年が経つが、まだ完成に至っていない。外尾さんがバルセロナに1人で「流れ着いて」からでも、すでに33年の歳月が流れたという。実に壮大な挑戦であり、ロマンである。
それに対して自分の現実はどうか。常に目先の諸課題に振り回されている毎日である。もっと精神的なゆとりとロマンをもって、将来の夢を追いかけることに情熱を燃やしたいものだ。
10月15日には「最低車両台数・適正運賃収受WG」が開かれる。今回が最後の会議となり、WGとしての報告書がまとめられる予定だ。その報告書を受けてトラックビジョンの本委員会が再開されることになる。
トラックビジョンも着手してから長期にわたるが、どうも業界が直面する問題にのみ関心が集中してしまうような感じがする。喫緊の課題は業界対策として別の委員会なり、研究会などで短期間に解決策を練るべきであろう。それに対してビジョンは産業政策として将来像を描くべきではないか。
国家百年の計とまでは言わないが、せめて業界十年の計ぐらいの視点は必要だ。10年後には経済のグローバル化も国内市場の縮小も、現在よりずっと進む。そのような状況下におけるトラック輸送産業の在るべき姿を示すべきだろう。
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