オープンとクローズド
第二次大戦後の世界は、アメリカを中心とする西側諸国とソ連を中心とする東側諸国の東西冷戦構造が長く続いた。現在では世界の2大国といえばアメリカと中国である。その2つの国で、新たな指導者を選ぶ「手続」があった(中国は儀式が進行中)。アメリカと中国では、指導者選びが対照的である。アメリカがオープンなのに対して、中国はクローズドといえるからだ。
アメリカではオバマ大統領が再選されたが、予備選から候補者による選挙運動、そして選挙人による本選挙と、長い期間をかけて次の指導者を選ぶ。その間、政策だけではなく、対立候補に対する批判も繰りひろげられる。批判ならともかく、ネガティブ・キャンペーンと呼ばれる非難、誹謗合戦もあるようだが、その中にも一片の事実が含まれているかも知れない。それを見抜いて判断するのは国民である。ともかく多くの国民を巻き込んでの大統領選挙は、4年に1度の国を挙げてのお祭りともいえる。どちらの候補者が勝っても、自分たち自身で指導者を選んだ結果、ということになる。
それに対して中国では、完全な密室で、一部の人たちだけによって指導者が選ばれ、国民は結果だけを知らされる。閉鎖された中での指導者選びではあるが、報道によれば太子党と共青団(団派)という2大勢力があって、熾烈な権力闘争が繰りひろげられているようだ。太子党は有力者の2世、3世による特権閥であり、団派は実力派の新興エリート集団といえるだろう。
最近、日本ではたくさんの政党ができているが、2世、3世議員が実に多い。いわゆる「太子党」である。だが、日本には「団派」と呼べるような勢力はあまりない。なぜかといえば、政治の世界だけでなく、多くの分野で、青年部などの組織の幹部にはほとんど「太子党」が自動的に就任するのが常だからである。つまり太子党と団派がほぼ一体なのである。
日本でも「近いうちに」解散、総選挙があるだろう。現在の所属政党に関わらず、世襲議員が全員あつまって「日本太子党」を結党したら、単独過半数を確保して「安定」政権ができるかも知れない。その結果、日本がどうなってしまうかは別問題だが、一応は選挙で選ばれ(オープン)、実質は特権閥による政権(クローズド)ということになる。
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