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2013年1月28日

親の背中

 先週はスケジュールがタイトだった。月曜から金曜日までの5日間で、取材が5件あり、都内での研究会が1回、その他の予定を消化した。取材は総て地方だったので、朝5時起きが2日もあり、特急列車やローカル線、高速バスやタクシーなどの移動時間も長かった。

 若いころと違って、さすがに肉体的には疲れる。だが、取材は精神的には楽しい。初めての出会いがあり、いろいろな話を聞くと新たな刺激が得られる。いくつになっても、取材には魅力がひそんでいる。取材先への往復で、自分の人生は旅なのだなと思いながら、電車やバスの窓から流れて遠ざかって行く風景をぼんやり見つめるのが好きだ。

 地方の中小事業者の女性ドライバーにも取材した。ある女性のトラック・ドライバーは、子供のころからトラックのドライバーになりたいと思っていた。父親がトラックのドライバーをしていて、働いている姿を見ていたからである。まだ小さかったころに助手席に乗せてもらったこともあり、自分も大きくなったらトラックを運転してみたいと思っていたのだという。

 しかし、最初は製造業に勤めた。その後、結婚して現在は小学生と幼稚園の男の子が2人いるが、念願のトラック・ドライバーとして働くようになった。仕事は2t車または1t車への乗務で、学校給食の配送をしている。市内には中学校4校と小学校5校があり、これら9校に給食を運ぶ。基本的には3台の車両で3校ずつの配送になっており、1週間交代で配送コースが替るという勤務だ。

 3人とも女性のドライバーで、勤務時間は10時から14時45分まで1日4時間(昼食休憩が45分)。通常のパートよりも良いという話だった。

 3週間のうちの1週間は、自分の子供が就学している小学校にも給食を届けることになる。ときどき子供が顔を見せることもあるという。自分が父親の働いている姿をみていたように、今度は自分が働いているところを子供がみている。自分が気づいていない時にも、子供が働く母親の後ろ姿を見ているかもしれない。

 学校給食の配送なので、学校が休みの時には仕事がない。休日はもちろん平日の時間帯もほぼ同じなために、子どもと同じ時間を共有できるのも良いという話だった。

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