実態があって評価がある
今年は首都圏でも雪が多い。事前の予測より積雪が少ないこともあるが、備えあれば患えなし、である。
1月14日は関東地方では珍しい大雪になった。翌15日に関東のある地方都市に行った。すると「森田さんが以前、書いていたでしょう。昨日あれと同じような場面に遭遇しましたよ」といわれた。全ト協の「広報とらっく」に連載しているコラムで、自分の経験を書いたことがある。それを読んでいた人の話である。
筆者が書いたのは、自動車で取材に行った帰りに雪になった時の体験談だ。進行方向は緩やかな上り坂で、つき当りが信号のある丁字路になっている。その信号で止まった車が、青になってもなかなか発進できずに渋滞していた。やっと先頭から4、5台のところまできて、赤になったので止まった。だが、信号が変わっても先頭の乗用車が発進できないでいた。すると数台後にいた大型トラックのドライバーが先頭車のところにいって、発進の仕方を教えだした。次の車にも同じように教えている。その体験をコラムで紹介したのである。
同じような場面に遭ったという人は、やはり緩やかな上り坂の先が丁字路だった。先頭車が発進できないでいると、その人の後ろにいた4tトラックのドライバーが車から降りて、先頭車を後ろから押しはじめた。それをみていた乗用車の運転者たちも車からおりて手伝うようになった。「自分も運送会社の経営者としては、手伝わないわけにはいかないよな」と微笑みながら話してくれたのである。
その後、東北地方で講演した時に、ちょうど外は雪だった。そこでこのエピソードを紹介し、雪国の地元ではそんなことはないだろうが、皆さんの会社のドライバーの人たちは全国いたるところに仕事で行く。雪になれていない地方で同じような場面に遭遇したら、先頭車がスムースに発進できるように手助けするように話してほしいと頼んだ。
業界のイメージアップにつながる、といったリッパな話ではない。自分が少しでも早く目的地に着くことになるからだ。どのような状況にあっても、その条件の中でどのように行動することが自分の仕事を遂行することにつながるかを判断し、行動できるのがプロである。理由はそれだけで良い。
何よりもまず実態があって、それをどのように評価するかは外部の人の判断なのである。
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