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2013年3月25日

循環型社会と物流

 金曜日(22日)に、リバースロジスティクス研究会のメンバーで茨城県鉾田市(旧大洋村)の大洋土つくりセンターを視察した。研究会の座長はフコックス(本社・東京都江東区)の鎮目隆雄社長で、同センターを実質的に立ちあげ、現在も所長と技術管理士(指導員)を出向させて運営の要を担っている。そこで今回は鎮目座長の会社が行っている事業の現場を、研究会で視察をさせてもらった次第である。

 フコックスの住宅関連の取引先では、畳替えした後の古い畳の処理に困っていた。一方、旧大洋村は酪農が盛んだが、乳牛の糞尿の処理という問題を抱えていた。そこで、廃棄された畳みを一定の大きさに裁断し、乳牛の糞尿と混ぜ合わせ、光合成細菌の放線菌によって自然発酵させて堆肥をつくる仕組みを開発した。地元の農家などが出資して有限会社を設立し、プラントの建設に当たっては各種の補助制度など公的資金も活用して2002年7月に事業をスタートした。

 フコックスは運ぶのが本業であり、廃畳を収集して同センターに運んでいる。古い畳は持ち込みもあるようだ。プラントでは1日30tの堆肥ができ、農家などに出荷している。好気性発酵方式なので、匂いが出ないのが大きな特徴だ。また放線菌は稲作などに良いので、作付面積当たりの収穫量が多いという。その他、このセンターで作られる堆肥と相性が良い作物が多く、生育状況に差がでるようだ。このようなことから、各地の自治体関係者や農業関係者、学術関係者などの視察も多い。

 実はこの大洋土つくりセンターについては、事業をスタートして間もない2002年10月に出版した拙著「物流企業『勝ち組』へのキーワード」の中で紹介している。また同著は2005年5月に、北京の出版社から中国語の翻訳本も出された。しかし、現場をみたのは今回が初めてである。当時、取材して書いたのは開発に至る経緯や、プラントの基本的なシステムなどについてであり、内容に間違いはない。だが、現場を確認すると細部にわたって知ることができるので、今回は良い視察だった。

 環境保全は世界的な大きな課題の一つだが、循環型社会の実現には物流が不可欠である。物流の立場からいえば、新たなビジネスを創造するチャンスなのである。

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