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2013年4月 8日

ダンプ不足に人手不足

 先週は岩手県に行き、震災の復旧・復興状況について関係者の話を聞いた。すると、意外な状況になっていることが分かった。経済の活性化を目的とした政府の緊急経済政策が、被災地ではダンプ不足を促進し、復旧のスピードを遅らせる結果を招いている、というのだ。

 被災地では地盤沈下した地域のかさ上げや、高台への移転のための整地など、まだ復興以前の工事の最中である。地元のダンプだけでは足りず、全国各地からダンプが集まっていた。しかし、緊急経済政策で全国的に公共工事などが増えてきたために、地元で仕事があるのなら「出稼ぎ」よりも地元で仕事をした方が良いと、ダンプがそれぞれの地元に帰ってしまった。被災地ではいままでもダンプが不足していたのに、より足らなくなってしまったのだという。

 大型ダンプは国交省の資料によればピーク時の2007年度に営業用が約6万5600台、自家用が約10万6200台、合わせて17万1800台であった。しかし、リーマンショック後に減少が始まり、2011年度ではそれぞれ約6万3100台(約-2500台)、約10万300台(約-5800台)、合計16万3400台(約-8300台)になっている。

 このように車両数が減少していても、需要も低迷していたので余剰感が強かった。そこで仕事を求めて全国各地から被災地に集まっていたのである。それでも被災地では不足気味だったが、緊急経済政策で各地の需要がでてきたために、それぞれの地元に帰ってしまったというわけである。

 同じような事情は生コンでもいえる。被災地の生コン工場は不足している。そこで政府が被災地に生コン工場をつくる方針のようだが、今度はミキサー車の不足が予想される。一部の関係者からは関西方面からミキサー車を被災地に回すような段取りをとっていると聞いたが、関西でも緊急経済政策がらみで仕事が増えてくるようになると、どうなるか分からない。

 さらに、かりにダンプやミキサー車を何とか揃えられたとしても、それを運転するドライバーをどのように確保するか、という問題がある。現状を見ると必ずしも労働力の絶対数が不足しているとは思えないのだが、応募者が少ないという実態からすれば、やはり人手不足なのである。

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