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2013年7月 8日

参議院選挙真っ最中

 ある企業の話である。この間、ずっと業績不振が続いていた。そのような中で約半年前に社長が交代した。新社長は次つぎに新たな方針を打ち出した。そして、一部の社員を可愛がり、その社員たちを引き連れて連日のように夜の町に繰り出すようになった。社長から誘われるメンバーはホクホクである。「昨日の夜はどこどこで御馳走を食べた」とか、「2次会は楽しかった」とか、社内ではそんな話題でもちきりになった。いっさいお誘いを受けない社員たちすら、羨ましい気持ちをもちながらも、そのうち自分もご相伴にあずかれるかもしれない、という淡い期待や雰囲気が社内に漂うようになってきた。

 社長いわく「わが社は長い低迷から抜け出して、私が社長になってからは業績が着実に上向いてきている。諸君の給料を上げるまでには多少のタイムラグがあるが、現在の方針で進めば大丈夫だ。わが社が発展するには、この道しかない」。そして、会社をさらに発展させるには様ざまな分野に打って出る必要があるので、会社の定款を変えたいという。いろいろな社内プロジェクトも立ち上げた。その中には、会社の競争力を強化するためには柔軟な労使関係が前提になると就業規則を見直すプロジェクトもある。

 ところが、一部の社員たちだけに大盤振舞していた費用は、業績が良くなったから捻出できたのではなかった。ただ借入金を増やして得た金だったのである。新社長になってから、借入金が大幅に増え、業績が回復するどころか、財務内容が悪化し経営はより危機的状況になっていたことが判明した。そこで社長は辞任に追い込まれ、ご相伴にあずかっていた一部の社員たちは、社長に誘われたから付いて行っただけだと言い訳した。

 今度は社長に批判的な立場だった役員を中心に、社員が一丸となって経営再建に取り組むことになった。この間に大きく増加した借入金は、連夜のお誘いには無縁だった社員たちや、これから入社してくる人たちが働いて返済していくことになる。

 あれ、「参議院選挙真っ最中」というタイトルで書くつもりだったが、全然、違う話になってしまった。ところで、財務省によれば「国の借金」は2012年度末で991兆6011億円(国民1人当り779万円)。2013年度末には1000兆円を超える予測のようだが、参議院選挙の争点にはあまりなっていないように感じる。

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