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2013年10月28日

「藤原の効果」と錯覚

 今年は台風の多い年だ。前回も台風に関連した内容だったが、今回も続けて台風の話である。

 台風の進路によっては仕事のスケジュールが狂ってしまう。しかも台風27号と28号がほとんど同時に来るのではないかと心配だった。そんな時にネットで「藤原の効果」云々というのが目に入った。その瞬間、気象庁も粋な表現をするものだと思ってしまったのである。

 というのは「藤原」をてっきり藤原純友と勘違いしたからだ。東国で平将門が乱を起こし、ほとんど同時に西では藤原純友が乱を起こした。いわゆる承平天慶の乱である。将門の乱を東の台風、純友の乱を西の台風にたとえれば、歴史的なことは詳しく知らないが、間に挟まれた京の都の朝廷は大変な事態への対応に迫られたのではないだろうか。そこで、2つの台風が複雑に作用しながら同時に来襲してくる状況を、「藤原の効果」と表現したのだろうと早とちりしたのである。

 そのような誤解がむしろ好奇心になって、さらにクリックしてみたら全然違っていた。2つの台風が接近すると通常とは異なる複雑な動きをするが、このような相互作用の存在を1921年当時に中央気象台の所長だった藤原咲平氏が提唱したことから「藤原の効果」と言うらしい。恥ずかしながら「藤原の効果」という言葉を初めて知った次第である。

 とんでもない錯覚をしたものだが、それには故郷の心裡とでも表現すべきものが根底にあるのではないかと思う。前回、生まれ育ちは筑波山が見える地方と書いたが、将門にゆかりのある地方である。だからほぼ同時に近づいてくる2つの台風と、藤原という表現から純友の乱と将門の乱を発想してしまったような気がする。

 そういえば思い出した。母校(高校)の校歌の一節に、「むかし天下を睥睨の 東国男子の魂は なほ三寸の胸にあり(作詞:吉丸一昌氏)」とあった。

 それにしても、単純な発想と直情的な行動で後悔ばかりしているが、これも坂東に生まれ育った宿命なのかもしれない。

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