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2013年11月18日

仕事の合間の贅沢

 仙台で取材があり、翌日は茨城県の大洗で講演があった。そこで仙台から郡山まで戻って1泊し、翌日9時18分郡山発の水郡線で水戸に向かった。水戸着が12時39分で、水戸からは鹿島臨海鉄道大洗鹿島線に乗り換えて3つ目が大洗駅だ。大洗は亡き母の生まれ故郷である。

 水郡線は郡山を出ると、阿武隈川に沿うように走り、途中の山間部を過ぎると、やがて久慈川に沿うように走って水戸に着く。途中の山間部といっても標高がそんなに高くはないし、人家も点在しているので中山間地域と言った方が良いかもしれないが、それらを除くと、平野部の田園風景がけっこう続く。刈り入れの終わった田んぼの所どころには、脱穀を終えた藁束が立てかけられてある。いく枚もの田んぼの中を縫うように小川が流れている。こんな田園風景を、のんびりと走りゆく車窓から漫然と眺めていると、のどかで気分がゆったりしてくる。

 民家の庭先には、すっかり葉を落とした柿の木に熟した柿の実がたくさんなっている。いかにも秋を思わせる風景で印象深いのだが、どの家の柿も誰もとらずに、そのまま朽ちゆくのではないかと思わせる光景だった。最近の子供たちはあまり柿を食べないらしい。少子化で子供の数が少ないこともあるのだろうが、自分が子供のころは柿の木に上って、1つか2つ柿をとって毎日おやつ代わりに食べたものだ。木に登れないような小さな子には、年上の子がその分をとってあげるのがごく自然のことだった。そのような行為が繰り返されながら、それぞれが成長していったのである。

 子供に限らず大人もだが、自然になっている柿は食べる対象ではなく、スーパーなどの店頭に並んで売られている柿が食べ物という認識なのかもしれない。どうも最近のご時世は、昔と感覚が違ってきている。

 郡山から水戸までの所要時間の3時間21分にしてもそうだ。新幹線のぞみなら、東京と新大阪間は2時間30分余。それを考えると郡山から水戸まで水郡線で移動するなど、マニアか変人と思う人もいるだろう。だが、ゆったり、のんびりの移動も、時間に追われる仕事の合間の贅沢なのである。

 大洗では海に面したホテルに泊った。部屋にいると大きな揺れを感じた。20時44分に千葉県北西部で発生した地震である。ニュースでみたらマグニチュードが5.4というから、大きな地震である。このホテルは東日本大震災の時に1階部分が津波の被害にあった。そこで万が一、津波でもあった場合にはチャンと記録しようと思い、コンパクト・デジカメを持ち、部屋の窓を開けて海を注視していたのだが、幸い津波はなかった。

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