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2013年12月 9日

知られる前に急げ

 警察庁の発表(12月2日)によれば、振り込め詐欺などの特殊詐欺被害が今年1月から10月末までで、過去最悪を更新したという。被害額は約383億円で、過去最悪だった昨年1年間の約364億円を10カ月間で上回ってしまった。年間の被害額が400億円を超えるペースである。

 特殊詐欺の手口ではオレオレ詐欺が急増していて、最近は振り込め型よりも受け取り型が多くなっているようだ。オレオレ詐欺は、判断力が衰えた高齢者の親心につけ込んだ悪質な犯罪である。また、医療費などの還付が受けられるといった、還付金詐欺も増えているという。

 特殊詐欺に限らず詐欺全般に共通することは、当然のことだが「あなたを騙します」とは絶対に言わないことだ。そして甘言で被害者を錯覚させてしまう。もう一つは、現金の支払いや契約などを急がせるのが共通点であろう。時間をかければかけるほど嘘がバレる可能性が高まるからだ。一方、被害にあった人の共通点は、「自分は騙されていない」と思っていたことである。後になって騙されたことに気づくのだが、すでに時遅しで、金品などを取り戻すことはほとんどできない。

 このようにみてくると、最近、何か似たようなことが起きた気がした。そう、特定秘密保護法である。為政者に都合の悪い内容を国民が知る権利はありません、そのためには報道の自由も認めません、とは絶対にいわない。一方、外交や防衛、テロ防止などには秘密にしなければならない内容があるといわれれば、たいていの人がもっともだと思うだろう。

 だが、秘密を守らなければならないことと、今回の特定秘密保護法(内容を含めて)の必要性がイコールではないという点がミソである。それをイコールに見せかけるのがトリックだ。多くの人がイコールであるかのように錯覚している間に、急いで成立させてしまおうということではないだろうか。時間をかければかけるほど、イコールではないことに気づく人が増えてしまう。ともかく急いで同法を成立させてしまえ、そうすれば後で気づかれてもどうにかなる。

 前回も書いたように、このようにして新華通訊社...? あれ、いけない間違えた。大本営発表だけが報道の「自由」であり、国民の知る「権利」になってくるのである。

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