« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

2014年1月

2014年1月27日

ドライバー不足と「倍返し」

 トラック運送業界における人手不足は深刻だ。人手不足によるトラック不足で、スポット運賃は上昇している。冷凍・冷蔵食品輸送大手の何人かの社長と話していたら、昨年の暮れに大型車による長距離輸送で、商品によっては通常の2倍の運賃にまでなったケースがあるという。

 3月の年度末には4月からの消費税増税の前倒し需要が見込まれるため、どんな状況になるのか予想もつかない。当然、需給関係から運賃が上昇するだろう。ただし、上昇するのはスポット運賃なので、4月以降にはその反動がくることも考えられる。スポット運賃ではなく、ベース運賃が上昇してはじめて運賃値上げ傾向といえる。この点をわきまえないと、運賃上昇ムードだけで終わってしまう可能性も否定できない。

 先の何人かの社長との会話の中で、中型免許の動向も話題にのぼった。その流れで、自分たちがどのような免許や資格などを持っているかという話になった。運行管理者やフォークリフト、その他である。運転免許は普通免許だけという社長もいれば、大型免許も持っているという社長もいた。すると普通免許だけの社長が大型免許を持っている社長に対して、「繁忙期にはウチにきて大型車に乗ってよ」といったので大笑いになった。現場の繁忙期には社長はどうせ閑だろうから、というのが理由だが、その点では皆の意見が一致した。

 たしかに一定規模以上の会社になれば、繁忙期に社長が忙しいようでは困る。社長はその先のことを考えているようでなければいけない。だが、ルーチンで動いている現場は大変な状態である。人手不足の中で、限られた時間内に多くの仕事をこなすには、現有勢力の過重労働で凌ぐしかない。

 ある大手の孫請け事業者では、拠点間の幹線輸送で遠方の拠点に行ったドライバーが、さらに行った先の拠点管轄の仕事を何日か行う。その後に先方からの幹線輸送の荷物を積んで帰ってくる、といった実態もあるようだ。

 そのような勤務状態でも、聞くところによると手当は僅かしかつかない。一方、出掛けたままなので外食費が増えるために割が合わない、という。

 なぜ、そのような状況になっているのか。その大手事業者は、この間、何度かにわたって下請け運賃を値下げし、それに伴って孫請け運賃も値下げされてきた。そのため人手不足によるトラック不足になってきた現在、「頭を下げられても、値下げした大手事業者にはトラックを出さない」という孫請け事業者たちが増えてきているからだ。

 ドライバー不足が深刻化する中で、運賃値下げをしてきた大手事業者に対する、孫請け曾孫請け事業者たちの「倍返し」である。

2014年1月20日

50年目の通信簿

 中学校の担任の先生から年賀状を兼ねたお便りをいただいた。3年間、クラス担任だった先生である。そのなかで拙著『ネット通販と当日配送』についての感想が書かれていた。良く調べている、統計的な数字も上手くつかってる、わかり易い文章だ、といった主旨が書かれてあった。

 先生とは毎年1回はお会いしている。12月の第1日曜日にクラス会を定期的に開いているからだ。団塊の世代なので1クラスの人数も多く53人もいた。おそらく、いまなら3クラスくらいの生徒数なので、若い人たちには考えられない人数であろう。すでに亡くなられたクラスメイトも数人いるが、それでも毎年、30人くらいがクラス会に集まる。結束力の強いクラスなので、同学年の他のクラスからは羨ましがられている。

 昨年も12月1日の日曜日にクラス会が開催されて、先生にはお会いしたばかりなのだが、文書でお便りをいただいて読むのは格別な気持ちである。そこで、改めてネットの書籍販売をみた。すると、2001年10月に出版して、現在では絶版になっている拙著が中古本で1万6,466円の値がついていた。見間違いではないかと思って、もう一度よく見たのだが、たしかに1万6,466円になっている。

 ネットの書籍販売では新本と中古本が併売されているが、中古本はたいてい100円とか、中には1円などという値がつけられている。自分の書いた本が1円となっているのを見ると、気落ちしてがっかりするのだが、1万円以上の値がついていると逆に疑いたくなってしまう。なぜ、そんな値段になっているのか理由は皆目わからない。だが、悪い気はしないから不思議だ。

 そうなると、ついつい欲がでてしまう。発売当時は1,500円+税だった。著者割引で定価の80%で買えるのだから、こんなことなら100冊ぐらい買ってもっていれば、150万円ぐらい儲かったのに...。まぁ、こんなことばかり考えているからいつも貧乏しているのかもしれないが。

 それにしても先生からいただいた文面からは、生徒の良いところを何とか見つけだして褒めてやろう、という思いが伝わってくる。読んでいるとついつい中学時代に戻ったような気持ちになってくる。いつまで経っても先生と生徒なのだな、という思を強くした。

 そういえば今年の3月で中学を卒業してからちょうど50年だ。国語の先生だったので、作文は比較的良い評価をいただいたことになる。50年目の通信簿として、今後の励みにしたい。

2014年1月13日

「みなし」景気

 新年会シーズンである。例年のことだが、案内状をいただいた企業や団体などにはできるだけ出席するようにしている。普段はなかなか会えないような方に会って、新年のあいさつをすることができるからだ。

 新年会で主催者や来賓のあいさつを聞いていると、ほとんどが「アベノミクスで景気が云々...」という話になる。新年のあいさつということもあって、誰も悪いことはいわない。そこで景気は徐じょに良くなっているというあいさつになる。だが、話している本人が本当に確信を持ってそういっているのかというと、必ずしもそうとは受け取れないようなニュアンスを感じる。

 1月9日に日本銀行が「生活意識に関するアンケート調査(2013年12月調査)」の結果を発表した。これは日銀が1993年以降、定期的に行っている一種の世論調査で、昨年12月調査の有効回答数は2,241人であった。同調査によると、1年前と比べた景況感では、「悪くなった」という回答が21.5%で、前々回調査(13年6月)が18.0%、前回(13年9月)が20.6%なので、少しずつ増えてきている。それに対して「良くなった」という回答は前々回13.2%、前回12.3%、今回12.3%で、ほぼ横ばいである。

 現在と比較して1年後をどう予測しているかでは、「悪くなる」という回答が前々回16.8%、前回25.8%、今回29.9%となっている。反対に「良くなる」という回答は、前々回24.3%、前回16.2%、今回15.9%という結果だ。1年後は現在よりも景気が良くなるだろうと感じている人が減少し、悪くなるだろうと思っている人が増加しているという結果だ。

 同調査では、これらの景気判断の根拠についても聞いている(2つまでの複数回答)。それによると「自分や家族の収入状況から」が58.4%、「勤め先や自分の店の経営状況から」が34.1%である。つまり、身近な生活実感からの回答である。収入についても1年前より「減った」という回答が前々回、前回、今回の順で増加している。1年後の収入予想でも、「減る」という回答が前々回、前回、今回の順で増えている。

 このようにみると、ムードとしては景気回復感が支配しているが、その実態は「みなし」景気といわざるを得ないのではないだろうか。

2014年1月 6日

人手不足とコンプライアンス

 普段はほとんど車を運転しない。正月休みに約4か月ぶりに車で出かけたら、道路がかなり混んでいた。年末年始の連休で乗用車が多いのは分かる。だが、トラックも多く、ドライバーの人たちも正月ぐらい休みたいだろうに、という思いを強くした。

 昨年12月16日づけで「トラック不足の影響が自分にも」と書いた。12月の発売を予定していた拙著『ネット通販と当日配送~BtoC-ECが日本の物流を変える~』が、年末にはトラック不足で物流の混乱が予想されるため、出版社の営業担当者の意見にしたがって年明けの販売になった、という話である。ところが、年が明けて正月になっても人手不足によるトラック不足がかなり深刻な状況のようだ。とくに宅配便や路線便では、人手不足のために正月すら休めないドライバーも少なくない。

 ある大手事業者の孫請けで、拠点間輸送を行っている運送会社などでは、元旦や2日に休みを取ることすら厳しい状況にある。なんとか1日と2日に休みを取ったが、それも完全な休みではなく、「待機」状態なのだという。携帯電話に連絡が入ったら、いつでも勤務に就けるようにしている、という状態である。

 ドライバーを募集してもなかなか応募者がいない。中小運送会社で、労働条件が悪い元請事業者の下請け、孫請けの仕事をしているようなケースではとくに難しいようだ。応募者が、あそこ(大手事業者)の下請けでは仕事がキツイということを知っているからだという。

 聞くところによると、ある孫請け会社が大型車の長距離ドライバーを募集した。応募者が面接の日時に会社の近くまで行ったのだが、その会社の隣に大手事業者の営業所があった。そこで、ひょっとするとその大手事業者の幹線輸送を下請けでやっているのかも知れないと思ったので、会社の前から携帯で電話をして確認した。すると、やはりその大手事業者の幹線輸送をしているという答えが返ってきたので、「それなら応募を辞退するので、今日の面接はキャンセルにして下さい」といって帰ってしまったという。

 人手を確保するために、なかには高給をエサにドライバーを引きぬく中小運送事業者もいる。だが、高給を払うのは3カ月間だけで、4カ月目からは安い給料にするようなケースもあるようだ。そんな給料なら元の会社にいた方がましだった、と嘆くドライバーもいるという。

 こうなると詐欺と同じである。そんな会社の経営者はどのような感覚の持ち主なのか。事業許可を取り消せるような制度にすべきである。他方、ハローワークや求人媒体を発行している会社などに対しても、ペナルティを課すようにすべきではないだろうか。

 年度末にかけては消費税増税前の駆け込み需要も予想される。昨年の年末以上に、人手不足による物流の混乱が予想される。

« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »