「権威」と「常識」の革新
先週は明るいニュースに接することができた。単に明るいだけではなく、ある種の清々しさを感じさせるニュースだった。
ほかでもない新型万能細胞「STAP細胞」のニュースである。小保方晴子さん=本来なら「博士」とか「氏」と書かなければ失礼なのだろうが「さん」の方がピッタリくるのでそうさせていただく=は、いかにも賢そうな美人で、しかも若い方なのでテレビのニュースを見ていて清々しさや爽やかさを強く印象づけた。白衣ではなく、かっぽう着姿で実験に打ち込む姿も、初々しい感じだった。
権威ある「ネイチャー」誌に最初に投稿したときは、あまりにも「常識」を覆すような単純な理論だったために、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」とまで酷評されたという。そのような報道を聞いて、「権威」を振りかざすことで自らの存在を誇示しようとする学問の世界らしいな、と思った次第である。学問の世界に長年生きてきたその道の「権威者」に、しばしば見られる専門的「常識」に基づく裁断とヒエラルキー臭である。また、もっと簡単に表現しても伝わるような内容を、やたらと難しい言葉で話すことで、自分の専門的「権威」を誇示しようとする人もいる。
これは学問の世界だけではない。どのような分野でも、その分野の「常識」が根強く定着している。その「常識」すら分からないような人は、単なる素人と見下し、相手にするまでもないと裁断してしまう風潮がある。とくに、その道の「権威者」にありがちな発想と態度だ。
最近は理系を専攻する女性が増えているという。これら理系女子を通称「リケジョ」というらしいが、小保方晴子さんは、一躍リケジョのシンボル的な存在になった。彼女にあこがれたり目標にして、理系に進む女性が増えることは良いことである。
一方、これから小保方さんはマスコミに執拗に追いかけられることだろう。研究者としての研究内容や研究実績などを取材・報道するのは良いが、アイドル的な取り上げ方はやめてもらいたい。才色兼備の若い女性だけに、おそらくアイドル的な報道が増えてくるだろうと予想する。それもマスコミが視聴率稼ぎと「常識」的に考えている悪しき習性である。そのような取材攻勢が、研究に支障をきたすことになったら、人類的な損失にもなりかねない。
専門的なことは皆目分からないが、STAP細胞は学問「業界」の「権威」と「常識」を覆したという意味でもイノベーションといえるのではないだろうか。
最近のコメント