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2014年2月24日

想定範囲の範囲

 今回も雪についてである。日本列島の多くの地域で降雪による被害がでた。

 テレビニュースでも小売店の陳列棚が空になっている映像が流れた。商品が店頭に届かなくなってしまったからである。また、葉物野菜などの値上がりも報道されているが、農産物の場合には収穫時にある野菜の被害だけではなく、いま育てている最中のものも被害に遭っている。そのため春から夏にかけても生産量の減少による値上がりが懸念される。

 このような自然災害などの影響で、必ずクローズアップされるのが物流だ。宅配便各社では幹線輸送、集配業務に影響がでた。そのため荷物の引受を一時的にストップするような事態にもなった。一般貨物輸送も同様で、荷物を届けることができないという事態も発生した。何人かの事業者に聞いたら、何とか荷物を届けることはできたが、帰れなくなってしまったようなケースもあるようだ。通常は拘束時間の範囲内で日帰りなのに、会社に帰れたのは翌日だった、というのである。

 物流に限らず、今回の大雪による被害の多くに共通するのは、想定外の降雪量だったということである。たとえば農家のビニールハウスの倒壊などでも、今回のような降雪量を想定していないために、そこまでの強度で作っていなかったために被害に遭っている。その他、あらゆる面で想定外だったことによる被害が少なくない。

 つまり、過去の経験を上回る自然災害が発生するようになってきたのである。これは雪に限らず集中豪雨や強風、それに3年前の東日本大震災のように地震や津波など、想定範囲の範囲を再検討しなければならないようになってきたことを意味する。

 社会インフラや公共施設などなら、政府や自治体の政策的な優先順位(予算配分)を再検討することで、想定の範囲を拡大した構造にすることはできる。だが、民間企業では投資額が大きくなることを意味するので、それだけの資金があるかどうかが大きな問題である。これは個人(たとえば住宅など)でも同様で、それだけの予算的な余裕があるかどうか。

 このように見ると、日本は豊かになったとはいっても、本当の豊かさとは何かを考え直すことも必要なのではないだろうか。

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