能力の発揮と結果
福島県の郡山市で乗ったタクシーのドライバーが、「景気の恩恵は全くない。それよりも売上は天候に左右される」と話していた。雪が多い年は売上が伸びるのだという。
話によると、浜通りはほとんど雪が降らないから、スタッドレスタイヤを持っている人が少ない。だからたまに雪が降ると渋滞などで大変なことになるが一時的である。一方、会津は冬の間は雪が積もっているので、誰もがスタッドレスタイヤにする。雪道の運転にも慣れているのでタクシーの売上にはあまりつながらない。しかし、その中間にある中通りの郡山では、雪は降るが冬の間中積もった状態ではない。皆がスタッドレスタイヤを持っているが、たびたびつけ替えるのが面倒だ。それに雪道の運転にも慣れていない。だから降雪日が多いと、普段は車で通勤しているような人でもタクシーを利用するので売上が良いのだという。
現在、日本列島は広い地域が雪におおわれている。関東でも何年ぶりかの大雪となった。そのようななかで、ソチの冬季オリンピック・パラリンピックが始まった。個人的には、夏のオリンピックと比べると冬のオリンピックは関心が低い。先の郡山のタクシー・ドライバーの話ではないが、あまり雪の降らない地方で生まれ、育ったからかも知れないと思う。それに対して、1年の一定期間は雪に覆われたなかで生活している人たちは、小さな時からスキーやスケートに親しんでいるので、ウインタースポーツへの関心が高いのではないだろうか。
今回のソチオリンピック・パラリンピックには、有望な日本選手がたくさん参加している。活躍を大いに期待したい。だが、マスコミなどは日本のメダルの数が何個とか、だれだれ選手は金メダル候補とか、あまりにもメダルに固執した報道が多すぎるような気がする。
もちろん競技だから負けるより勝った方が良い。2位よりは優勝の方が良いに決まっている。しかし、大切なのは自分の力を存分に発揮するということではないか。多くの人たちが注目する中で、自分の持っている力を全て発揮できれば素晴らしいことである。メダル云々はその結果である。お互いに力を出し切った結果、自分を上回る選手がいれば、それがどこの国の選手であろうとも讃えるというのがスポーツであろう。
メダルという精神的なプレッシャーを与えて力を発揮する妨げになるのではなく、持てる力をフルに発揮できるような雰囲気をつくるのが、本当の応援である。選手も日本を代表しているとか、日本の人たちの応援に応えるとか、という気負いはなくした方が良い。スポーツは国威発揚の手段ではない。練習で蓄えた力を存分に発揮することに専念し、楽しく競技に臨めば良いのである。順位はあくまでその結果なのだから。
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