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2014年3月 3日

消費税「転嫁」の意味

 4月からの消費税増税を前にして、販売合戦が激しくなってきた。購入側も少しでも安いうちにと、駆け込み需要が増えているようだ。

 当方は1人で仕事をしているが、一応は有限会社にしている。そこで外注費の中でも比較的金額の大きな支払について、5%と8%で計算して比べてみたら、わずか3%といえども侮るなかれ。かなり影響があることを改めて実感した。こんなに「年貢」を取られては、という心境である。

 消費税増税を前にして、増税分を転嫁できるかどうか、といった調査をシンクタンクや報道機関などで行っている。どの調査でも「転嫁できない」という回答がけっこうある。そこで疑問に思っていたのは「転嫁」という表現についてだ。

 原材料や燃料価格の高騰、あるいは仕入れ価格などが上昇した場合に、それらのコストアップ分を販売価格に反映できるか否かなら、「転嫁」できるかどうかという表現になるだろう。だが、消費税はコストではない。税を負担するのは最終消費者になるのだが、その税の徴収を民間企業などが連鎖的に順次代行し合っているだけだ。

 したがって「転嫁」できないという表現は正確ではない。それは、税徴収の連鎖の途中で、誰かが税金の支払いに応じない、すなわち誰かが納税を拒否している、ということである。したがって取引先に「転嫁」できないという表現ではなく、取引先が「納税を拒否している」ということを簡潔に表現する言葉に換えた方が良いのではないか。

 だが待てよ。「転嫁」できないと言っているのは、ほとんどが下請けや孫請けの中小企業である。取引先の大企業は、消費税が増税になれば下請け企業などにちゃんと8%の消費税を支払うはずだ。なにしろコンプライアンスを重視しているのだから、大企業が納税を拒否するなどということはあり得ない。その分は単純計算だが、下請単価を一方的に3%下げれば良い。さらにその上、輸出した分については消費税が還付されるという仕組みだ。

 なるほど、このような多層構造を考えると、「納税拒否」ではなく、実質的には「転嫁」できないという表現がやはり正しかったのか。それにしても、優越的地位を振りかざす取引先に対しては、「年貢の納め時だ」といえるような権限をもった監視体制を整えることが必要ではないだろうか。

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