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2014年4月 7日

消費税増税と賃上げ

 4月1日に1人で飲みに行った。開店時間に合わせて店に入ったので、その日、最初の客である。今年になってから初めてなので、飲み屋さんからすればありふれた台詞だが「あら、久しぶりね」といわれた。そこで「消費税が上がるまで飲みに来るのをじっと我慢していたんだよ」と冗談をいったら喜ばれた。消費税増税で客足が減るかも知れないと心配していたが、増税後の最初の客がそんなことを言ってくれたのでありがたい、ということのようだ。

 コンビニで飲み物などを買っても、たしかに値上がりを実感する。たとえば105円だった商品が108円になったのなら、そうだ消費税が3%上がったのだ、という程度でさほど値上がりを感じない。しかし128円だった商品が131円になっていると、値上がりを実感する。1円の単位での変動ならともかく、10円の単位で値段が変わっていると増税の重みを感じてしまう。

 今年の春闘は、政府の財政政策や日銀の金融政策の恩恵に与っている大企業などを中心に、近年にはない賃上げ幅になった。久しぶりにベースアップした企業もある。だが、これらの企業のほとんどは、これまでも毎年、賃上げしていた。問題は賃上げができない中小企業が多いという現実である。下請けや孫請けの中小企業の中には、消費税増税分を取引先から徴収(一般には「転嫁」)できないという企業も少なくない。

 一部では非正規雇用の人たちも賃上げしたという企業もある。だが、本当に賃上げといえるのだろうか。たとえば最低賃金が800円以下の地域で、時給800円で働いているパートの人に24円の賃上げをしたとしよう。賃上げ率は3%だ。したがって単純計算ではあるが、消費税増税を考えると実質的には賃金据えおきと同じことになる。正規雇用の人たちでも、賃上げとは無縁な中小企業で働いている人たちは多い。賃金据えおきとは、実質的には賃下げと同じである。

 マスコミは賃上げやベースアップについては大きく取り上げるが、実質的には賃下げになっている人たちがたくさんいるという現実も、もっと報道すべきではないだろうか。

 ちなみに冒頭の飲み屋さん。価格据えおきの方向で努力しているようだ。

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