戦時レジームへの転換
憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認が閣議決定された。関係諸法律などの改定を経て、海外での武力行使に道が開かれる。
10年前の2004年にイラク特措法で自衛隊がイラクに派遣された時のことである。長女と話をしていて、へぇ~と驚いた。自分などは憲法9条が云々と考えがちだが、娘などは発想が全く違う。派遣される自衛隊員が可哀そうだというのだが、その理由である。日本は憲法で戦争をしないことになっているから、安定した就職先として自衛隊に入った人たちも多い(当時は就職難)。それなのに紛争地域の海外に「業務命令」で「出張」させられたら「就業規則」違反ではないか、というのである。
そのような発想の延長で考えると、これからは自衛隊への入隊応募者も減ってくるだろう。そうするとどうなるか。どのような命令にも無条件で従う正隊員いわば正社員と、防衛限定正隊員や攻撃限定正隊員などのいわば限定正社員などといったことになるかも知れない。このうち攻撃限定正隊員は傭兵と同じだ。傭兵なら国が直接契約するよりも、労働者派遣法を変更して派遣会社からの派遣隊員にした方が、補償なども含めたトータル人件費を削減できる。もちろん、コンバットカラー・エグゼンプションで「残業代」はナシである。まぁ、応募者が少なくなれば、徴兵制という切り札があるか。
次に、集団的自衛権容認の経済への波及効果としては、兵器関連企業の業績が上がり、株価の上昇が見込まれるだろう。また、戦地に戦闘員を派遣する兵隊派遣会社や葬儀社の業績も良くなる。これまで隠していたが、実は、これが成長戦略の「第4の矢」だったりして。
かくして「戦時レジームへの転換」が着々と進んでいる。それにともない、これまでのビジネス・ロジスティクスだけではなく、本来のロジスティクス(兵站)がますます重要になってくるということで、「物流コラム」らしい結びになった。
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