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2014年8月18日

「便利さ」の陰

 さすがに先週は、朝夕の通勤電車がいつもより空いていた。多くの人たちが帰省や旅行などに出かけているのだろう。その分、新幹線や特急列車、飛行機などの利用客が増加する。高速道路の渋滞も例年のごとくだ。

 だが、夏休みをとって旅行などに出かけられる人たちがいる一方、その間も働いている人たちがいる。小売業や飲食業などはその代表格といえる。そして、それらに商品や食材などを供給しているのが運送業である。トラック運送業にとっては、道路の混雑や渋滞は作業効率を低下させるので大変だ。いずれにしても、多くの人たちが休暇を楽しんでいる間も働いている人たちがいて、社会の「便利さ」を支えている。

 例年のことだが夏休みのない自分にとっては、通勤電車が空いているのは有難い。なぜ、夏季休暇がないかといえば労働生産性の低さである。生産性が低い分を、時間で穴埋めしている。自分1人だけの会社なので労基法は関係ないが、労働条件からみると完全なブラック企業である。それなのに決算書をみるとリッパな? レッド企業だ。

 当社のことはさておくとして、全体的にみると夏休みがとれる人たちは恵まれている(本来はそれが当たり前のことなのだが)。それに対して、休暇を楽しむ人たちのために「便利さ」を提供している人たちは、一般的に労働条件などが恵まれていない。非正規雇用の人たちが多いからだ。

 小売業や飲食業、それに運輸業などは生産性が低い業種である。機械化できる余地が少ない労働集約型産業である。つまり、経営的にみると人件費比率が高い。この生産性の低さをカバーしているのが長時間労働だが、時間には限界がある。そこでもう1つの手段として人件費単価を低く押さえている。

 このようにして、普段の仕事においてだけではなく、夏休み期間などにおいても、正規雇用の人たちの「便利さ」を非正規雇用の人たちが支える、という構造ができあがっているのだ。おそらく、このような傾向は今後ますます強まるものと思われる。少なくとも、労働人口の減少と国内市場の縮小という問題がなければ、である。しかし労働人口の減少と国内市場の縮小は避けて通れない。すると、どうなるのだろうか。

 「便利さ」と「必要性」は必ずしもイコールではない、ということに気づかなければならない。

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