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2014年9月22日

勝者は民主主義

 先週の金曜日(19日)は風邪で体調がすぐれず、自宅で1日中ゴロゴロしていた。こんなことは久しぶりである。記憶では少なくともここ10年間は、終日、何もせずに家で過ごすようなことはなかった。当日の夜にはNS物流研究会が主催する「物流関連ゼミ学生研究発表会」の、参加チームの教授と学生へのルール説明と発表順抽選会があったのだが、急遽、欠席にさせてもらった。

 そんなことで、ベッドに横になったりソファーにだらしなく座ったりして過ごしたのだが、ちょうど19日は、スコットランドがイギリスから独立するかどうかを問う住民投票の結果がでる日だった。投票結果は独立賛成が44.7%、反対が55.3%で、現在の体制が維持されることになった。

 独立するとなると外交や防衛などの問題もでてくるが、それ以前の大前提として経済的に自立できるかどうかが重要である。独立反対派は、おそらく現実問題としての経済を重視したのだろうと思う。

 このスコットランドの住民投票の一連のニュースを観ていて感心したことがある。テレビや新聞、ネットなどから得られる範囲の知識でしかないが、賛否が拮抗し、しかも両派とも支持拡大の働きかけが加熱していたにも拘らず、暴力沙汰などが報じられていない、ということだ。独立賛成派は落胆し非常に残念がっていたようだが、それでも投票結果は受け入れるという姿勢が感じられた。

 今回のスコットランドの住民投票で感じたことは、さすがに民主主義の国だということだった。そもそもスコットランドの独立を決める住民投票を認めること自体、民主主義の先進国といえるだろう。

 イギリスからの独立反対が多数を占めたことで、カタルーニャ問題を抱えるスペイン、新疆ウィグル地区やチベット問題を内包する中国などはホットしたのではないか、といった報道も一部にはある。だが、そうだろうか。表面的にはそうかもしれないが、本質的にはその反対ではないかと思う。

 民主主義の成熟した国(社会)だからこそ、住民投票を認めたのである。住民投票すら認めようとしない国の民主主義のレベルこそが問われるのではないだろうか。ましてや、まともな選挙制度すらない国もある。そのような国では、力で民意を押さえようとする。すると力に対しては力で抵抗するという悪循環に陥る。

 スコットランドの住民投票の結果は、勝者がイギリス政府と独立反対派、敗者が独立賛成派だったのではない。真の勝者は民主主義の成熟度だったのではないかと思う。

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