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2014年11月10日

ネクタイ考

 先週の火曜日(11月4日)からネクタイを着用するようになった。半年間もネクタイをしていなかったので、クビが窮屈で肩も疲れぎみだ。昔は真夏でもネクタイをし、訪問先では持ち歩いている上着を着て取材していた。考えてみると実に非合理で非生産的なことをしていたものである。

 クールビズが提唱されたのは小泉内閣の2005年だった。きわめて個人的な主観的評価によれば、小泉政権の最大の功績はクールビズだと思っている。一方、ネクタイ業界はクールビズによって経済的に大きな打撃を受けたのではないかと思う。そこで、ちょっと調べてみた(こんなことをしている方がよっぽど非生産的なのだが)。

 ネクタイ業界には、日本ネクタイ組合連合会という全国組織がある。その下に地方組織として東京ネクタイ協同組合、関西ネクタイ商工組合、京都ネクタイ協会がある。昔はもっと地方団体があったようだが、現在は3団体である。これら業界団体の中で、実質的には東京ネクタイ協同組合が中心的な存在になっているようにみえる。

 そこで東京ネクタイ協同組合のHPを見ると、10月1日は「ネクタイの日」となっていた。ネクタイの起源には諸説あるようだが、同HPによると日本にネクタイがもたらされたのは18世紀中ごろで、ジョン万次郎の帰国とともに渡来したといわれている、と書かれてあった。また、国内でネクタイが初めて生産されたのは1884年(明治17年)10月で、帽子商の小山梅吉氏が蝶ネクタイをつくったのが第1号という。

 東京ネクタイ協同組合のHPには、日本のネクタイ生産および輸入の推移が、クールビズ導入の前年である2004年から2013年まで公表されている。それによると2004年は国産1280万1000本、輸入を含む総合計が4247万8000本であった。クールビズが提唱された2005年は国産1165万本、総合計4027万1000本。だが、2013年になると国産513万1000本、総合計2529万4000本にまで激減している。

 ネクタイ市場の縮小にクールビズが大きな影響を及ぼしたことは想像に難くない。だが、それだけではないような気もする。その要因を思いつくままに列挙すると、温暖化、人口減少と年齢構成の変化(団塊世代の退職)、産業構造の変化(ネット関連の業界人は年中カジュアル・ウエア)などである。

 ネクタイ業界に限らず、社会が変化する中でいかに生き抜いていくか。ハーバート・スペンサーの「適者生存」という言葉を思い出しながら、ネクタイを絞め直している。

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