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2014年11月17日

「火の玉」と「火の車」

 にわかに解散・総選挙風が強まってきた先週、平河町のホテルで開かれた与党のある1回生議員を「激励する会」に出席した。政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーである。もちろん会費制なのだが、当方にはそんな金銭的余裕などない(自慢にはならないか)。議員も秘書の方もそんなことはお見通しなので、招待するから良かったら来てよ、というので出席した次第である。

 同議員は地方選出だが、地元だけではなく東京でも「激励する会」を開いている(昨年もこの時期に開催)。選挙区の自治体の首長も揃って上京して出席し、多くの国会議員が顔を見せた。何人かの大臣をはじめ来賓が激励の挨拶を述べ、盛大なパーティーだった。

 それにしても、である。もう少し日程が遅く、開催予定日が解散後だったとしたら、政治資金パーティーを開くことができなかった。あいさつした議員の1人は、12月上旬に予定していた出版記念パーティーを中止することにしたという。その点、この政治資金パーティーは結果的には、正に絶妙のタイミングと言える。偶然性やタイミングなども政治家の将来性を左右する要素の1つといえよう。その点、同議員は「何かを持っている」のかも知れない。

 だが、同議員の後援会長も小生との立ち話の中で囁いたように、「今回の解散・総選挙は大義名分がない。だから政党ではなく議員個人をよろしく、と言うしかない」。これは多くの国民の率直な思いではないだろうか。また、会場で何人かの知り合いと話をしたのだが、与党議員の支持者であっても、本心から実態経済が回復していると思っている人は少ない。

 当日は、このパーティーの1時間半ほど前に、やはり平河町の海運クラブで全日本トラック協会が「業界の要望を実現する会」を開いた。都道府県トラック協会の会長などが集まり、自民党のトラック輸送振興議員連盟、公明党のトラック問題議員懇談会の議員の人たちに、要望書を提出したのである。また、業界側から要望事項の説明をし、議員の人たちと意見交換をした。その後、議連側も決議を表明し、最後は全員でシュプレヒコールを行って実現する会は終了した。

 衆院解散を明言することはできないものの、議員の人たちの発言は総選挙を暗黙の前提としたものだった。12月は「火の玉」となって頑張るという発言もあったが、中小企業の資金繰りや多くの国民の家計は、すでに「火の車」なのだということを、はたしてご認識いただいているのかどうか。

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