年末年始とガラガラ族
今年最後のコラムである。年の瀬になると当事務所がある新宿駅西口の近辺にはキャリーバックを引きずるガラガラ族が多くなる。年末年始の休暇で旅行や帰省する人たちだ。
ガラガラ族といえば、大きなキャリーバッグを持ってロンドンから久しぶりに知人夫妻がやってきた。かみさんの同郷の同級生が約35年前に単身でイギリスに渡り、イギリス人の伴侶を得てロンドン郊外に住んでいる。今回は6年ぶりに夫婦での帰郷である。
そこで食事をすることになり、長男夫婦も同席した。長男が高校1年生の夏休みに短期間だがステイさせてもらった。宿泊だけ面倒をみてもらい、あとは1人で行動させてほしいと頼んだのだが、2人には子供がいないので可愛がってもらったようだ。あれから、すでに20年の歳月が流れた。Mr.Wと長男は、懐かしそうに一番印象に残っていることや、今はどんな仕事をしているかなどを話し合っていた。しかし、自分たちのことになると老後の話題などになってしまう。聞くところではイギリスには定年がない。「何歳になったら辞めなさいとか、同じ仕事をしているのに何歳になったから給料を下げるとか言ったら法律違反」なのだという。
総務省が12月26日に発表した「労働力調査」によると、非正社員が初めて2000万人を超えた。一方、正社員は減少している。非正社員は女性とともに高齢者が増えている。定年後に非正社員として継続雇用するケースが増えていることを表している。雇用が増えたと言っても、正社員の減少を非正社員の増加が上回っているに過ぎない。正社員の収入が増え、非正社員の時給が上がっても、人件費総額は少なくなる、という構造である。
今年の年末年始は、カレンダーの関係で12月27日から1月4日までの9連休の人が多いようだ。そこで旅行に行ったり、帰省したりするガラガラ族が街中や乗り物の中に増えてくる。だが、このような人たちは幸せといえる。非正社員で日給制の人にとっては9連休は収入が減るのできつい。そこで生活のために年末年始の間に、別のアルバイトをする人もいる。
ガラガラ族の集団が去った後、ユニフォームを着て黙々と清掃する人の姿が印象に残る年の瀬である。
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