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2015年3月 9日

企業文化

 ある上場企業の社長を取材した。応接室に入ると生花が活けてあった。素敵だなと思って、案内してくれた秘書課の女性に「社内で活けたのでしょう」と尋ねたら、「〇〇さんが毎週月曜日に活けています」という。そこで写真を撮らせてもらうことにした。

 この花を活けた〇〇さんは、ずっと以前から知っていたので、そうではないかと思ったが念のため確認したのである。この会社では華道や茶道の同好会があり、毎月、外部から先生を招いて指導を受けていた。その稽古風景を取材したことがあったからだ。同好会の中心的な人が〇〇さんだった。いまは同好会はないそうだが、応接室の花をずっと活けているという。素人目で僭越だが、見た瞬間に当時より上手になっていると感じた。

 取材の時は約束の時間よりも5分から10分ぐらい早く行って待つようにしている。社長室や応接室は、ある意味では情報の宝庫と言えるからだ。僅かな時間であっても、そこに飾られている絵画や書、焼き物などを観察する。そうすると、とくに中小企業のオーナー社長の場合、経営者としてではなく、個人としての素顔がみえることもある。

 自分で書や絵を描いたりする趣味の経営者もいて、中には自分の作品を飾っていたりする。たとえば本人が描いた絵なら、プライベートな1人の人間としての心裡や心境などが読み取れる。その感想を述べたら、その通りだと答えた社長もいた。ある経営者(上場企業)のケースでは、自分で書かれた書だろうと思って訊ねたらそうだと言うので、ひょっとして過去に大病をした当時に書かれたのではないかと聞いたら、やはりそうだった。素人なので専門的な眼はないが、直感したものをそのまま相手にぶつけると意外に当るものだ。

 経営者ではなくても、社員の人たちのサークルなどを取材すると、その企業の文化のようなものが観えてくる。実際に取材したことがあるのは、スポーツ系ではサッカーや軟式野球、9人制バレー、剣道、ボーリングなど。文化系では先ほどの華道や茶道、ロックバンド、マンドリン同好会、英会話サークル、その他である。音楽系では、老人ホームなどの慰問を定期的に行っているようなケースもあった。

 いずれも中小の物流企業(中堅規模もある)である。仕事オンリーではなく、企業文化をもった会社の方が、社員の表情も違うように感じる。

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