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2015年4月

2015年4月27日

ドローン

 首相官邸の屋上にドローン(小型無人飛行機)が落ちていた。自分がやったと出頭してきた容疑者がいる。容疑者の供述通りなのか、あるいはもっと深い裏があるのかは分からない。だが、テロリストの仕業だったら大事件になっていた可能性がある。警備体制など、実にお粗末と言わざるを得ない。

 ドローンというものを知ったのは約2年前だった。ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムが、「オクトコプター」という小型無人飛行機で宅配をする、という構想を打ち出したからである。同社の発表によると、距離は物流センターから半径10マイル(約16㎞)で、重量的には5ポンド(約2.2kg)までの商品を運べる。重量でみると、同社が販売している商品の約80%に該当するという。

 日本のマスコミも、このアマゾンの計画を取り上げた。マスコミからすると格好のネタだったからである。だが、週刊「プレイボーイ」(2013年12月30日号)でもコメントしておいたように、自分は宅配への活用という点では否定的だ。

 かりに日本で宅配に活用するとして、飛行許可や飛行条件などの法的な問題、また純粋に技術的な課題などがクリアできたとしても、コスト的に合わないからである。まず飛行距離を半径20㎞と仮定しても、広域エリアを面としてカバーするには、40㎞間隔で碁盤目状にデポを配置しなければならない。しかもオーダーを受けたらすぐに配達するには、各デポに在庫を置く必要がある。人員配置も同様だ。そのように考えるとコスト的に合わない。

 したがってドローンを活用した宅配は、構想としては面白いが現実性が乏しい。様ざまな条件を総合的に判断してドローンによる宅配しかないだろう、というごく限られた狭域での活用以外には、宅配での実用化は非現実的と思われる。

 今回の事態を受けて、あるドローンメーカーでは、飛行禁止区域圏内に入ると自動的に着陸し、離陸できなくなるようなプログラムにするという。だが、テロリストにとってはその程度のプログラムならどうにでもできる。テロ防止や安全性などからはドローンを規制することが必要だ。一方、ドローンを有効に活かせる分野はいろいろあるので、規制がその可能性を制約するようなことになってはいけない。「頭(上)の痛い」問題である。

2015年4月20日

風が吹けば‥‥

 「風が吹けば桶屋が儲かる」というのがある。風が吹くと砂埃がたつ→埃で目を傷めて盲人が多くなると三味線をひく人が増加→三味線につかう猫の皮が必要になって猫が減る→猫が減るとネズミが増えて桶をかじる→桶屋が繁盛して儲かる、という論理展開? である。想像しないような結果になるたとえのようだ。

 日本気象協会の発表によれば、4月に入ってから中旬までの日照時間は、全国的に平年よりもかなり短いようだ。日照時間が短いということは雨や曇りの日が多いということである。単純な因果関係で、「日照時間が短いので傘屋が儲かった」かどうかは分からない。だが確実なのは、野菜など農作物への影響である。初夏からの野菜の値段の高騰が予想される。もちろん、それを想定して事前に輸入を増やすような対策はたてられるが、円安が輸入野菜の価格を押し上げる。

 ところで、野菜の値段が高騰するとドレッシングの売上が減る。これは単純なことで、説明するまでもないだろう。だが、野菜の値段が高くなると納豆が売れるようになる、というのを連想できる人は少ないのではないだろうか。自分も納豆メーカーの物流子会社の人から聞いて、初めて知ったのである。

 いまから18年も前になるが、ある納豆メーカーの物流子会社を取材した。天候不順で野菜の値段が高騰している時だったので、雑談的にそんな話の展開になったのである。なぜなのかという因果関係は説明できないが、販売データなどをみると結果的にそのようになっているのだという。おそらく野菜の値段が高いと買い控え、その代わりに納豆で植物繊維を摂取するのではないかと想像しているという話だった。

 それにしても、総ての購買者が植物繊維の摂取といったことを考えながら、野菜の代わりに納豆を購入しているとは思えない。多数者の無意識の購買行動の結果として、ある傾向が生じるということであろう。人間も動物なので、本能的な行動なのかもしれない。

 天候ということでは、天気予報(予想)によって、物流も若干変化する。コンビニ店舗などでは、天気や気温などによって売れる商品が違ってくるからである。物流は雑学の教材でもある。

2015年4月13日

コンビニ国家?

 先週は風邪をひいてしまった。30℃以上のシンガポールから帰国した途端に、真冬のような気温だったので体がついて行けなかったからだ。

 シンガポールで感じたことを一言で表現すると「コンビニ国家」である。一番大きなシンガポール島でも東西約42㎞、南北約23㎞で、全国土面積が東京23区ぐらい。だが、金融、運輸(ハブ港湾・ハブ空港)、観光を柱に、国民1人当りのGDPや、1人当りの所得は世界的にも上位である。リー・クアンユー元首相の国葬の数日後に行ったのだが、このような国家の構築に貢献した元首相がシンガポールの父と呼ばれる所以も分かるような気がした。

 ジョホール海峡を渡ってマレーシアのジョホールバルにも行ってみたが、経済力の差を強く感じた。マレーシアから、毎日、バイクでシンガポールに通勤している人もいるようだ。シンガポールの方がずっと給料が高いので、物価の安いマレーシアに住んでいる人には良いという。一方、シンガポール側で同じことを聞いてみると、マレーシア人は人件費の安い労働力、といったニュアンスだった。

 シンガポール島のごく一部しか観ていないが、都市部だけで田舎のない国だなと思った。つまり農林水産業などがほとんどない。食料自給率が云々という見方もあるだろうが、ともかく金融、交通、観光に経営資源を絞り込むという国家戦略で成功していると感じた。

 水と電気についても現地で聞いてみたが長くなるので省く。ともかく少ない経営資源をフル活用するには24時間稼働という考え方なのだろう。12時間稼働を24時間稼働にすれば、経営資源を2倍に活用できる。たとえばナイトサファリは夜の12時までやっているという。空港では各国からの観光客を24時間受け入れ(ホテルなどの態勢も含め)、24時間稼働で各国に帰国させる。短期間で観光客を回転させれば、観光施設など限られたキャパでも多数の観光客を受け入れられるというわけだ。港湾にしても24時間でトランシップのコンテナを多数こなせば生産性も高いし、雇用拡大にもつながる。

 このようなことからコンビニの店舗経営との共通性を感じたのである(深夜の時間帯に採算が取れているコンビニ店舗は極めて少ないが)。これは中小企業のニッチ戦略にも参考になる。それはともかく、オーチャード通りの地下で目的の出口を見つけるのに30分以上も迷ってしまった。田舎生まれの悲しさである。

2015年4月 6日

日本的企業

 「アエラ」(4月6日号)のコピーが面白かった。「カグ主総会」である。いうまでもなく大塚家具の株主総会を指している。株主ではなく、家具屋のオーナー家の総会といった機知に富んだ皮肉だろう。

 日本では上場企業でも実質的にはオーナー経営の企業が多い。2代目、3代目でも優れた経営者はいるが、それほどでもないと感じるような後継社長もいる。一方、オーナー経営ではない上場企業でも、経営のプロとしての評価よりも模範的なサラリーマンの延長として、出世の上段に到達したような人たちが多いように観える。そのなかで最上段に上りつめる人は、社内処世術その他にも優れていないといけない。

 では、実質的にはオーナー経営の上場企業も、そうでない上場企業も世界の大企業と互角に競争できるのはなぜだろうか。それは組織力だと思う。社員個々人の能力という点では日本企業も外国企業も同じように優れた人材がいる。一番の違いは社内のヒエラルキーだ。どのような神輿でも担ぎ手が忠実なのは、日本企業では社内ヒエラルキー(なかには前近代的とも思えるほどの)が確立しているからだと強く感じるような場面に、取材などを通して何度も遭遇してきた。

 日本は近代市民社会を経ずに、封建社会から一定段階まで進んだ資本主義社会にいきなり移行した。そのため会社組織の中に封建社会の残滓を内包している。封建時代の「一所懸命」が「一社懸命」になったのである。これが日本企業の強さでもあった。

 ところが1970年代~80年代は海外市場も欧米が主だったので、欧米企業との競争では日本的組織力が力を発揮した。だが1990年代に入ると欧米市場は飽和状態になり、新たに進出する海外市場は新興国に移ってきた。同時に日本企業が強かった商品の一部がコモディティ化したことも、日本的企業の競争条件を変えた。そのためヒエラルキーが通用しなくなりつつある。

 そんな日本で、人に使われるのも人を使うのも嫌だと、いろいろな仕事を転々としてきた。その結果、いまは1人で気ままなようだが、虚業の世界で1人で生きるのはけっこう大変で、それなりに「一職懸命」なのだ。

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