箱根湯本
とある研究会を箱根湯本で開いた。お世話になったのは、創業が寛永2年(1625年)というから390年の歴史を持つ老舗旅館で、館内の2棟は重要文化財の指定を受けている。現役の旅館で重要文化財に指定されている棟があるのは全国でも当館だけという。
また、フロントの一隅には、宿泊客向けのささやかな「貸本コーナー」があり、地元に関する本などが置いてあった。その中に研究会のメンバーの1人が過去に編纂に携わって収録した、箱根周辺の昔話集もあり、奥づけに名前が載っていた。
平日だったこともあるが、火山活動の危険性の影響で、箱根湯本駅周辺の商店街も人が少なかった。これもメンバーの知り合いで、地元の売店などに商品を販売している人に偶然に会った。その人の話では、大涌谷周辺ではダメージが100%に近いところもあり、箱根湯本でも平均すると40%減という。
紫陽花も見ごろだが、火山活動の危険性の影響はかなり大きい。また通常なら夏には一般観光客も増え、各大学の合宿などもある。しかし、観光客の予約も例年より少なく、大学の合宿予約は激減という。当然いまの時期には夏の予約でほぼ埋まっていなければならない。ホテルや旅館も今夏は諦め、秋以降に期待したいという。だが、それも夏前には火山活動の危険性が収束しないと難しのではないだろうか。
そうなると旅館やホテル、みやげ物店などは、どこまで耐えられるかという体力勝負になってくる。体力ということでいえば、来年正月の箱根駅伝も気になるところだ。大涌谷周辺の火山活動の今後の推移にもよるが、例年通りに開催できるのかどうか。
箱根駅伝の中止はないだろうが、状況次第で、最悪の場合にはコースを一部変更して実施するようなことになる可能性も否定できない。かりに一部コースを変更するようなことになったとしても選手にとっては大変な問題だ。たとえば3年間、黙々と練習を積み重ね、4年生になって初めてレギュラーになれたような選手は、いつものコースで走りたいだろう。
自然の力は大きい。人間に様ざまな禍福や悲喜をもたらす。
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