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2015年7月13日

「ゆう活」雑感

 政府が「ゆう活」を推奨している。詳しくは政府広報オンラインに出ているが、日照時間の長い夏には、朝早くから仕事をはじめ、その分、仕事の終わりも早めるというもの。まだ明るい夕方の時間を有効に活用し、家族と過ごす時間を増やしたり趣味の時間に充てるなど、生活を豊かにするのが「ゆう活」と説明している。

 簡単にいえばサマータイム制導入の奨めである。それに呼応するように、三菱自動車が通常は8時45分~17時45分になっている田町本社の勤務時間を、7月13日~9月30日の間は8時15分~17時15分にすると発表した。

 初めてサマータイムなるものを実感したのは4半世紀も前のことである。たまたまヨーロッパに滞在中に、夏時間と冬時間が切り替った。言葉としては知っていたが、自分の腕時計を調整するという具体的な体験をした。

 10年ほど前に、北海道のある会社の社長を取材した。往きは最寄り駅からタクシーだったが、帰りは駅まで総務部長が車で送ってくれた。車中の雑談で、「社長が我われに聞こえるように『我が社もサマータイムを導入したら云々』と呟くんですが、誰も聞こえない振りをしている」という。

 仕事がら毎日遅くまで仕事をしている。サマータイムで朝早く出社するようになって、その分、早く帰れるなら良いが、終業時間はおそらく今と同じで、結局、労働時間が長くなるだけ。「それが社長の狙いだろうと誰もが考えているので、雑談でも話にはのらない」のだという。

 そこで、「おたくの社長はそんな甘くはないでしょう。まず夏に終業時間は同じで出社時間を早め、次に冬になったら『夏の間は早く出社できたのに、冬はなぜ早く出社できないのだ』といって、年間を通した労働時間の延長を目論んでいるんじゃないですか」といったら、総務部長が「さすがですね。我われ以上にうちの社長を良くご存知で」というので大笑いしたことがあった。

 現場の従業員はともかく、管理職や事務職、営業などでは、労働時間の把握などきわめて曖昧だ。それにホワイトカラーエグゼンプションという問題もある。「ゆう活」も悪いとはいわないが、中小企業の実態を踏まえて日本人の働き方を抜本的に考え直すことの方が重要である。

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