「出張宿泊難民」再考
6月29日の「出張宿泊難民」で、出張の際に宿泊するホテルのネット予約が取りづらくなっている、と書いた。その理由は、外国人観光客が増えているからである。需給関係からディスカウントもなくなり宿泊料金が徐じょに値上がりしている。そんなことを書いたのだが、ことはそれほど単純ではないらしいのだ。
外国人観光客の増加で、全国的に宿泊施設の稼働率が上昇し、予約が取れにくくなっているのは事実である。そこまではこの前に書いた内容で間違いないのだが、理由はそれだけではないという。予約が取りづらくなっている状況に便乗して稼いでいる者がいるために、予約が一そう難しくなっているということらしい。
聞いたところによると、ホテルや旅館などのネット予約を利用して、多数の部屋を連続して押さえてしまうのだという。もちろん自分が宿泊するためではない。宿泊予約を「転売」するのが目的である。マージンを取って予約を転売して稼ぐという便乗商法のようだ。
ネット予約で事前に部屋をたくさん押さえておいて、キャンセル料が発生する直前までに転売できなければキャンセルすれば良い。ネットなら、予約もキャンセルもクリックするだけ。対面はもちろん、電話などで直接会話をするわけでもない。だから無感情で平然と行えるのである。
ネット通販による物品購入でも、欲しい商品をまず注文しておいて、他のサイトで同じ商品がもっと安く売られているかどうかを探す。より安く売られていれば注文し、先のサイトはクリックひとつでキャンセルする。これなど当たり前の購買行動といえる。
なかにはレアな商品などを全部押さえてしまい、ネットオークションで売れれば転売するし、一定の期限までに転売できなければキャンセルする。ホテルや旅館の宿泊予約の「転売」も、これと全く同じ仕組みだ。ネット社会ならではの「商売」である。
このような「商売」をセコイ小銭稼ぎとみるか、それとも商才があるとみるか。いずれにしても銭は握った者の勝ち。貧乏人がとやかく言っても、負け犬の遠吠えに過ぎない、と言われてしまうだろう。
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