人民元レート
3週間ほど前、久しぶりに銀座に行ったら、外国人が多いのに驚いた。外国からの観光客が増えているといっても、まさか、これほどとは思っていなかった。大方は中国人のようである。
知り合いの研究員によると、外国人観光客の増加で、観光バスの発注が増えていて、メーカーの生産体制が追いつかないという。路線バスなら車内の装飾や設備が各社ともほぼ同じだが、観光バスはバス会社によって様ざまな趣向を凝らしたものが求められる。そこで発注から納車までかなり時間がかかっているようだ。
それはともかく事務所の近くの事務用品店でも外国人客が多い。こちらは小学生と思しき女の子たちが、文房具を品定めしている。学校で自分が使うのに買って帰るのだろう。あるいは友達への日本土産かもしれない。文房具なら単価はさほどではない。一方、同じく事務所の近くの家電量販店では「爆買い」を目にする。こちらは1人当たりの売り上げ金額も大きいはずだ。百貨店、各種量販店、専門店、その他の小売業は外国人観光客、とりわけ中国人の爆買いによって好業績になっている。
中国人民銀行が人民元を切り下げた。すると、たちまち世界の株式市場に影響がでた。中国経済が停滞しているという観測は以前からある。GDPをはじめ中国の経済指標の信ぴょう性には疑問符がつくが、その数値でさえも中国経済の勢いが衰えてきた。人民元の切り下げには、そのような背景があるのだろう。
ところで、国内の大手小売業は中国客の爆買いに頼っていても良いのだろうか。もちろん、買ってくれるというのだから売って儲けるのはかまわない。だが、円安が今後も続いたとしても、爆買いが続くとは限らない。中国政府が外国製高級品の関税率を大幅に引き下げたら、日本で爆買いする必要はなくなる。観光客は増え続けても、それは純粋な観光であり、買い物が目的の訪日ではなくなる。
40年ほど昔、日本人が外国に行くと女の人には香水を、男の人にはウイスキーやタバコというのがお土産の定番だった。関税が高く国内では高額品だったからである。しかし、現在は海外に行く人はずっと増えたが、お土産にさほど気を使わなくなった。
これと同じように、爆買いに頼るような経営に傾注し過ぎるといけない。やはり、正常な形で日本経済の景気を回復させる政策が必要なのである。
最近のコメント