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2015年8月24日

不可解な社会を象徴

 大阪・高槻市の運送会社の駐車場に、無残な遺体が遺棄されていた。30カ所以上も切り傷がある残忍な犯罪ということもあるが、職業柄もあって運送会社の駐車場という点でも気になっていた。

 遺体が中学1年の女子生徒と判明するのに時間がかかったのは、家族から捜査願いが出されるのが遅かったからのようだ。その後、柏原市の山中で男子生徒の遺体も発見された。そもそも不思議なのは、中学1年生の男女が夜間に外出したり外泊しても、当初は親がさほど心配していなかったのではないか、ということである。

 また、友達同士が深夜や早朝でも無料アプリで連絡を取り合っていることも不思議だ。そんなに緊急の用事があるとは思えない。言葉はしょせん記号とはいえ、短い言葉のやり取りというのも特徴的だ。意思を伝えるというよりも、常に何らかの形で繋がっているという精神的安定性の求め合いではないだろうか? それにしても睡眠時間などを考えると心身ともに健康的な生活とは思えない。

 容疑者が逮捕された時の報道(警察発表)によると「45歳職業不詳」となっていた。そのような中で、一部の報道機関が「福島で除染作業員」をしていた同僚のコメントを報じていた。この容疑者に限らず、最近の事件の容疑者や犯人は「職業不詳」や「無職」が多い。どのように生活しているのかと不思議に思う。また、働いていても不安定な雇用契約の非正規社員の場合が多いように感じる。現在の社会をよく反映していると思う。

 今回の事件では、防犯カメラの映像記録が容疑者逮捕に効力を発揮したことも特徴的だ。防犯カメラが「防犯」にどれだけ効果があるかを定量的に示すことは難しい。だが、少なくとも犯罪が起きてから容疑者を追跡するために役立っているのは事実だ。それはすなわち、自分自身を含めて常に監視されている社会だということを意味している。

 日本は世界的にみると殺人事件の少ない国である。2013年には、戦後初めて年間1000件を下回った。同年の日本の人口10万人当たりの殺人発生率は0.23で、世界で211番目である。犯罪が少なく治安の良い国といえるが、最近の殺人事件をみると残虐性、残忍性が強まっているような気がする。

 以上のように、今回の事件は現在の日本の不可解な社会状況を如実に象徴している。

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