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2016年1月11日

精神的疲労

 東京・小金井市で路線バスがアパートに突っ込んだ。回送中で乗客を乗せておらず、通行中の車や歩行者などにも被害がなかったのは幸いである。ドライブレコーダーに記録されていた運転中のドライバーの映像では、突然、心神喪失したようにみえる。乗務前の点呼では、本人から健康状態についての異常申告はなかったという。今回のケースに限らず、大手のバス会社なら労働時間の管理や健康チェックなど法令を順守しているものと思われる。だが、最近は同じような事故が全国的に増加しているようだ。

 小金井市で事故が起きた前日、中野駅からバスに乗った。バスは前乗り、後降りで、乗車時に料金を払う。発車寸前に中年の女性が1人乗ってきた。会話の内容までは分からないが、料金支払いで何か要領を得ないようで運転手がいろいろ説明している様子だ。バスの運転手は30歳前後の若い人だったが、それでも丁寧に応対しているので感心した。発車予定時刻より遅れているのは明らかで、これが途中の停留所でなくて良かったと思いながらみていた。停留所の条件によっては、後続の車に迷惑をかけるかも知れないからだ。

 やっとバスが発車した。すると、信号が赤に変わる直前なのに、アクセルを踏み込んで交差点を通過しようとするような運転を続けた。出発時刻の遅れを取り戻そうという心理が伝わるような運転だ。職業がら、そんな風に解釈してしまうのだが、ドライバーの心理も分からないわけではない。

 勤務時間の管理や健康面でのチェックなどがなされていても、運転中の心神喪失などによる事故が増えている背景には、精神的負担の増加があるのではないだろうか。医学的な関係は分からないが、最近はメンタル面でのケアの重要性が増していると思う。

 改正労働安全衛生法により、昨年12月から従業員数が50人以上の事業所ではストレスチェックの実施が義務づけられた。バスのドライバーの精神的な疲労もそうだが、トラックのドライバーも携帯端末などの操作や配達指定時間の厳守など、精神的負担が多くなっている。これはドライバーだけではなく、日本人全体にいえることだが、ドライバーの場合は交通事故などに直結する可能性があるので、社会的な注目が集まりやすい。

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