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2016年2月 1日

県境の町

 1月中旬から2月第1週にかけては、近場だが出張が続いた。関東圏内ではあまり出張という気分にはならないのだが、けっこう出歩いた。

 その中の1つに茨城県久慈郡大子町の運送会社への取材があった。大子町は袋田の滝が有名である。日光の華厳の滝、熊野の那智の滝とならぶ日本3大名瀑の1つと言われている。しかし、先の2つは定説なのだが、袋田の滝に関しては異説もあるようだ。

 それはともかく、袋田の滝は仕事だったり遊びだったり何度か行っている。だが、常陸大子の駅に降りたのは今回が初めてだ。茨城県の県庁所在地である水戸と福島県の郡山間を結んでいるJR水郡線には何度か乗っている。水戸から郡山へ、反対に郡山から水戸までのんびり乗ったこともある。2013年11月18日のコラム「仕事の合間の贅沢」がそうだ。だから常陸大子の駅は何度か通過しているが、今回、初めて降りた。

 取材先での雑談の中で、「栃木県の那須塩原駅まで車で約40分なので、東京に行くには那須塩原から東北新幹線を利用した方が便利だ」、という話を聞いた。なるほど、と驚いた。自分の「常識」からすると、車で高萩にでるか、水郡線で水戸に行って常磐線の特急に乗るという以外の発想がなかった。車で高萩に行くのと那須塩原に行くのは時間的にさほど変わらず、那須塩原駅前は駐車料も無料という。一方、水郡線で水戸までは1時間以上かかる。

 そこで水郡線の駅を数えてみたら、郡山~常陸大子の方が、常陸大子~水戸よりも駅の数が僅かに少なかった。常陸大子の次の駅は下野宮でここまでが茨城県。その次の矢祭山駅からは福島県である。大子町は茨城県のはずれで、栃木県と福島県に接した県境の町であることを改めて実感した。

 そういえば最近は県境マニアというのがあるらしい。石井裕(ニックネームのようだ)さんが「県境マニア!」という本も書いている。また「県境」あるいは「市町村境」を売りにして観光客の誘致を図っている自治体もあるようだ。現在では道路も整備されて交通手段も発達し、県境など無意識に越えている。しかし、昔の人はどうだったのだろうと考えればロマンを感じるのはたしかだ。

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