1970年代前半~中葉
セブン&アイHDの鈴木敏文会長が退任するようだ。退任に至る経緯や実際の事情がどうなのかは分からないが、鈴木氏といえば即座にセブンイレブンと連想するぐらいの強い印象がある。今日のコンビニの隆盛に果たした役割の大きさについては、誰しもが認めるところだろう。
セブン-イレブン・ジャパンの設立は1973年11月で、翌74年5月に第1号店をオープンした。ともかくコンビニは今や日本の小売業の主流になっている。興味深いのは、この1970年前半から半ばにかけてである。街のいたるところにあるファストフード店が日本に出現したのもその頃だった。日本マクドナルドHDの設立が71年5月で、第1号店のオープンは同年7月である。
コンビニが鈴木氏なら、宅配便は小倉昌男氏である。ヤマト運輸(大和運輸)が宅急便をスタートしたのが1976年1月で、今や宅配便は日本人の生活に欠かせない。また、現在では「何々引越センター」というグループがたくさんあるが、その先駆けとなったアート引越センターは76年6月にスタートした。
つまり、現在の日本人の日常生活に深く関わるコンビニ、ファストフード店、宅配便、引越しサービスなどは1970年代前半から半ばにかけて始まったのである。だが、いずれも全くのゼロから生まれたわけではない。小売業や飲食店はずっと昔からあった。宅配便もしかりで、CtoCの小口貨物配送はそれ以前からあったし、引越しもそうである。引越しサービスというコンセプトを初めて明確に打ち出したのがアートだったに過ぎない。
このように、いずれも既存の業態やサービスを母体とし、社会の変化に対応して時代のニーズに適合することで成功したのである。1970年代前半から中葉にかけて生まれた業態やサービスが、現在の主流になっている。今も様々な目新しいものが生まれてはいるが、40年後に主流になっているものが、どれだけあるだろうか?
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