企業不祥事
日産自動車が三菱自動車の株式の34%を取得して、傘下に収めるようだ。それは全く驚かない。それよりもビックリ仰天だったのは、軽4車種の燃費データ改ざんだけではなく、1991年以降の車に対して違法な走行試験を行っていたという発表だった。
三菱自動車は2000年に乗用車、商用車で大掛かりなリコール隠しが発覚した。商用車については2003年から三菱ふそうトラック・バスとして乗用車と会社を分離したが、2004年にはトラックでのリコール隠しが再び大きな問題になった。その間も、三菱自動車では違法な走行試験を改めることなく続けていたことになる。
2004年にトラックのリコールが問題になっている時、あるトラック運送会社を訪ねた。社長(当時)とは海外視察などで何度もご一緒した仲である。取材の主旨とは関係ないが、ふそうトラックのリコール対応の話になった。同社が保有しているトラックのほとんどが三菱である。当時の売上規模が60数億円だったので、保有するトラック数は多い。ディーラーの当該営業所のテリトリーでは最大の取引先だ。つまり、その営業所の1番のお客である。
ところが、社長が立腹しながら語ったところによると、ディーラーでは他の運送事業者への対応を優先して、同社は後回しにしていたので文句をいったという。その理由は明らかだ。同社は三菱系メーカーとの取り引きが多い。記憶によれば売り上げの30%ぐらいを占めていた思う。そのためディーラーの経営者や担当営業は、対応を後回しにしても他メーカーのトラックに代替えされる心配がない、とたかをくくっていたようだ。
その時、社長と意見が一致したのは「そのような企業体質や意識構造にこそ問題の根源がある」ということだった。どうも、いまだに変わっていないようだ。
ところで、メーカーの再編成もさることながら、国内市場ということでいえば、メーカー系列に関わらずディーラーの再編成が大きな関心になってくるだろう。メーカーはグローバル戦略を展開できるが、基本的に国内市場で商売しているディーラーは、縮小が進む市場規模に対して過剰である。自動車業界では、今後、ディーラーの再編成が加速化するものと思われる。
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