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2016年6月27日

英国EU離脱

 イギリスの国民投票でEU離脱が僅かながら多数を占めた。それによりEU残留派だったキャメロン首相は辞意を表明した。EU離脱の結果を受けて金融市場などでは世界的に影響が出ているが、残留か離脱かはイギリス国民が決めるものでとやかく言う筋合いはない。

 だが、EUに関しては思い入れがある。EUに関連したテーマで、2度ほど数カ国を視察したことがあるからだ。1回目は1991年秋で、市場統合を約1年後に控え陸運事業者がどのような企業戦略で臨もうとしているのかを探るという視察コンセプト。2回目は1996年秋で、EUになって以降の運輸市場の変化と、その中で業績を伸ばしてきた陸運事業者の特徴を調べようというものだった。このような目的で、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、オランダのトラック運送事業者を回った。

 1回目の視察で訪ねたイギリスの事業者は、たしかにその時点で、他の国の事業者とは多少異なるニュアンスだった。一般論としてビジネスチャンスが広がるだろうとは言っていたが、それほどメリットがないような意見を述べていた。自国外に自ら進出することはせず、業務提携で域内需要に対応するという考えだった。その時には、陸続きではないという条件の違かなと思ったものである。

 それと対照的だったのは2回目の視察で訪ねたイタリアの会社である。最初は個人企業として設立したが、その後、オーストリアのTNTに買収された(訪問時点ではTNTローマ支店)。さらに数カ月後にはオランダの会社と合併してEU内外で小口貨物のネットワークを拡大すると話していた。また、近いうちに日本にも進出するので、その時にはよろしくという社交辞令もあった。ところがその後、オランダポストと一緒になり、また、本当に日本にも進出してきた。今ではドイツポストなどと並ぶインテグレーターになっている。

 前者はEUに消極的だったし、後者はグローバル化の先端を行くといった雰囲気だった。たまたま偶然にも、対応してくれた企業の経営者がそうだっただけかも知れないが、感慨深いものがある。

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