シェアリング
8月27日の朝日新聞(朝刊)によると、東京メトロ有楽町線で貨物列車を走らせる計画を検討しているという。専用の貨物列車にヤマト運輸、日本郵便、佐川急便の宅配便の荷物を車両基地で載せ、都心の駅で下して宅配便事業者が配達するという構想だ。
実用化されれば、道路混雑などに影響されず時間的に安定的に運ぶことができ、都心部への車両流入の抑制やCO2排出量の削減、ドライバー不足への対応などにもなる。だが、実用化までには鉄道事業法などの法的な面や、地下鉄駅の構造上(作業上)の問題などがある。そのような諸課題を明らかにするため、今秋には有楽町、銀座一丁目、新富町の3駅で実験をする予定という。
最近はシェアリング・エコノミーが注目されるようになってきた。それに伴ってシェアリング・ビジネスも生まれてきている。大都市圏などで身近なシェアリング・サービスとしてはカー・シェアリングが代表的であろう。また、実際に多くの人が体験しているのが航空会社間の共同運行だ。航空機という資材をキャリア間でシェアリングすることで経済効率、経営効率を上げている。
さらに最近は、路線バスで宅配便の荷物を運ぶケースも出てきた。とくに地方では路線バスの採算性が低い。そこでバスの車体の一部に貨物を積めるようなスペースを設け、貨客を同時に運ぶことで採算性を向上する。一方、宅配便会社ではその区間のトラック輸送をなくすことができるというわけだ。地下鉄で宅配便の荷物を運ぶ試みは、レール・シェアリングと言える。
乗用車のシェアリング・ビジネスとしてはウーバーが有名だ。タクシーを利用したい客と、同乗して運んでも構わないという普通の乗用車(運転者)をマッチングするものだが、日本では白タクになるので法的に認められていない。だが、物流の分野では貨物版ウーバーともいえるサービスが始まっている。主にスポットの荷物を運んでもらいたい荷主と、提携している運送会社(個人事業主の軽トラック事業者も含む)のトラックをマッチングするシステムである。
今後、日本は人口減少が進み、それにともなって国内市場が縮小していく。すると限られた人的ならびに物的資源を有効に活かすことが必要だ。その方策の1つがシェアリングである。
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