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2016年12月19日

「るつぼ」か「モザイク」か

 事務所のある新宿駅西口の近くをうろちょろしていることが多い。新宿は以前から観光客とおぼしい外国人が多かった。ところが今年の夏ごろから、飲食店やコンビニ店などで店員として働いている外国人が急増してきたように感じる。

 飲食業や小売業では労働力不足が深刻なのだろう。運輸業も含めて「人手」と総称される業種や仕事の分野では労働力の確保が難しくなっている。それに対して「人材」を求める業種や企業では、むしろ買い手市場だと思う。ここに労働市場のミスマッチがある。

 それはともかく、働いている外国人は外見から判断すると実に多くの国の出身者がいるようだ。そして、みんな若い。おそらく日本の学校に留学している学生アルバイトが多いのだろう。異国の地で必死に生きている姿は頼もしい。これから国際化がさらに進めば、在留外国人はもっと増えるだろう。外国人労働者の是非は別として、実態としてはそのまま定住する人も多くなるはずだ。すると日本はどうなるのだろうか。

 ニューヨークに初めて行ったのは約30年前である。当時はまだ治安が悪く、セントラルパークなど夜間は近づけなかった。だが、街を歩いていて驚いたのは、皮のコートを着ている人と、Tシャツ姿の人が仲良く話しながら歩いている姿だ。明らかに人種が違う。その時、多くの人種や民族がいるので、同じ気温でも寒い国から来た人は暑く感じ、暑い国から来た人は寒く感じるのかも知れない、と思った。NYは「人種のるつぼ」と言われるゆえんだ(最近は「サラダボウル」と言うらしい)。

 お隣のカナダも多民族国家である。同学の1人が若くしてカナダに移住したが、当時、カナダでは何らかの国家資格を持っていなければ移住を受け入れなかった。つまりカナダへの移住はハードルが高かったのである。そのようなこともあってか、カナダ在住の邦人の1人は「NYのような人種のるつぼではなく、カナダは人種のモザイク」と強調する。

 たしかに「るつぼ」という言葉は、混在や混沌を経てやがて融け合うような感じだ。それに対して「モザイク」は、様ざまな人種や民族が主体性を保ちながら調和し、全体として造形美を形成する、といったイメージである。

 国際化が進むなかで、将来の日本は「るつぼ」になるのか、それとも「モザイク」になるのだろうか。

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