運・不運の紙一重
先週は火曜日から土曜日の間に7社ほど取材した。いずれも関東圏内だが、移動時間がかかるところばかりなので、連日、朝は5時起きで電車を乗り継ぎ、けっこうハードだった。しかし、いろいろな人と会って話を聞くのは楽しい。また、意外な話の展開になって驚くこともある。
ある運送会社の社長の取材である。取材の主旨とは離れた雑談の中で、「実は‥‥」という話になった。昨年12月に新東名いなさ連絡路を約4㎞ほど逆走したトラックがあった。幸い事故にはならなかったが、警察の調べによるとドライバーは覚せい剤使用を認めたという。
この逆走ドライバーが、取材先の会社に10年ほど勤めていたのだ。しかも同社を辞めたのは(正確には本人の同意を得て強制的に辞めさせた)、問題を起こす約3カ月前だった。
昨年夏に行った従業員の定期健康診断で、このドライバー1人だけが診断を拒否した。さらに風邪と称して会社を休んでしまったという。その後もずっと休んでいるので、出社するように何度も声をかけたが一向に出社しない。そのままの状態にしておくわけにもいかないので、出社しないのなら辞めてもらうように本人と話し合い、本人も合意の上で退職させたのだという。
その後、近くの運送会社に採用され、再就職して僅か1週間ぐらいで逆走して逮捕されたようだ。近くの運送会社に就職したことは誰も知らなかったので、同社のドライバーは気づかなかったのだが、辞めたドライバーは前の会社のトラックを知っており、誰が運転しているかもわかる。そこで、パーキングで元同僚に声をかけてきて少し話をしたという。そのドライバーの報告による、顔がげっそりと痩せてしまい、以前とはだいぶ変わったということだった。だが社長は、「まさか覚せい剤をやっているとは考えもしなかった」ので、ニュースで知って驚いた。
社長は、今にして思えば健康診断を拒否したことが変だったと振り返る。そして、あの時に辞めてもらって良かった。もし、自社のトラックに乗務していたら、取引先は大手企業が多いので取引停止になる可能性もあり、まさに冷や汗ものだった。運輸業に限らず、日本でもドラッグの危険性が高まってきた。
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