再びAI(人工知能)
昨年10月31日づけの当コラムで「AI(人工知能)」を書いたが、再びAIである。先般、ある経済誌がカテゴリー別に会員制で発行している雑誌の1つに、「物流のAI活用・現状と今後」を書いた。
AIをどのように定義するかによっても違ってくるが、物流分野におけるAIはまだまだである。大別すると倉庫や物流センター業務と輸送・配送業務になるが、そのいずれにおいても、現状ではAIを活用するという段階には至っていない。製造業などと比べて物流分野ではなかなか難しいからだ。今後AIの導入が考えられるのは、メーカー物流など川上物流において、工場の延長として応用される可能性である。一方、輸送・配送業務では、これから実験が予定されている自動運転と隊列走行などは輸送におけるAIと言えるだろう。
配送業務でもAIの可能性が出てきた。DeNAとヤマト運輸が神奈川県藤沢市の国家戦略特区で実験を始めた「ロボネコヤマト」プロジェクトがそれである。実験に取り組むのは「ロボネコデリバリー」と「ロボネコストア」の2つで、いずれも将来の自動走行が前提だ(実験は有人で行う)。前者は宅配ボックスを設置した自動走行の車両が、荷受人が指定した場所に10分刻みで指定した時間に行き、荷受け人がボックスから自分で荷物を取り出すというもの。後者は仮想モールに出店している地元商店の商品を消費者が購入し、前者のデリバリーの仕組みで購入者に届けるという買物代行サービスである。
これらが実現すると、従来の宅配とはまったく異なるラスト・ワン・マイルになる。自動走行車両で移動する宅配ボックスと理解すると分かりやすい。宅配の概念が変わるだけでなく、宅配ボックスも固定されたものではなくなるという意味で、従来の概念が変わる。すると、マンションの宅配ボックスのようにほとんど塞がっていたり、戸建て住宅における宅配ボックスのように設置費用がかかる割には稼働率が低い、という問題も解消される。宅配ボックスのシェアリング・エコノミーである。
利用者にとってのメリットは時間コストの削減である。また、宅配事業者のメリットは再配達コストの削減であり、ドライバー不足への対応にもなる。「無人の移動宅配ボックス」が実現すれば、物流AIということができそうだ。
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