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2017年5月15日

単純か狡猾か

 先週のテーマは「リセット」だったが、この1週間は弛緩した精神状態が元に戻らず、だらだらと過ごしてしまった。そんな中でも、世の中は動いている。

 トランプ米大統領がFBIのコミー長官を解任した。驚いたのは、大統領に就任してからコミー長官を解任するまでの間に、自分は「捜査対象ではない」ということを3度も確認したという点だ。捜査されては困るので、阻止するために解任したと受け止められても仕方がない。実に単純な行動である。

 自分に都合の良い人事ということでは、日本の総理大臣の方が米大統領より先行していて、こちらは狡猾だ。NHKの前会長(21代)や理事人事、国会同意人事だが日本銀行の現総裁、また従来の人事慣行を破った内閣法制局長官の任命などである。

 内閣法制局長官の人事は、集団的自衛権を「合憲」と解釈させるための任命だった。最近では、森友学園問題で財務省理財局長の知名度が上がっている。みえみえのシラケた答弁を繰り返し、自分が矢面に立って「難局」を乗り切れれば出世は間違いない。だが、野党の追及をかわし切れなければ出世街道からは外される。

 また、改憲論議を加速させようとする動きも活発になってきた。憲法9条の1項と2項はそのままにし、3項を追加するとのこと。これなど「加憲」政党が賛成しやすくなるような曲球だ。一方、集団的自衛権は憲法上問題なしと解釈するのに、教育無償化のためには改憲が必要というのは詭弁も甚だしい。「補完」政党への飴玉である。

 それにしてもアメリカのジャーナリズムは日本より健全だ。NBCテレビの大統領インタビューをニュースで見ていると、大統領の嫌がる質問を堂々とぶつけている。米大統領が一方的に自己主張できるツイッターに逃げたくなるのもうなずける。それに対して日本では、大手新聞が総理の「ツイッター」の役割を担っているようだ。

 書き出せば限がないが、「共謀罪」になるといけないから、この辺で止めておこう。

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