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2017年5月22日

本当に必要なのか

 最近は宅配便に関するニュースが頻繁に報道されるようになった。ドライバー不足と長時間労働、再配達問題、時間帯指定見直し、料金値上げなどである。これに伴い、宅配便の大口利用者であるネット通販会社の対応に対しても、社会的な関心が高まってきた。ネット通販会社のなかには、当日配送休止、12~14時の時間指定受付の中止、一部の配送料値上げ、その他の対応策をすでに打ち出したところもある。

 この事態を「宅配便クライシス」などと表現するマスコミもあるが、宅配便事業者からすると、異常だったものを正常に戻そうという取り組みに過ぎない。別に大騒ぎするほどのことではないのである。

 この一連の「宅配便騒動」のなかで、「利用者の立場から、どのように対応(協力)したら良いのだろうか」といった声も聞かれるようになってきた。利用者も当事者の1員としてどのような協力の仕方があるだろうか、といった健全な受け止め方をする人たちが増えている。宅配便は、それだけ社会的な存在になっているということだ。

 そこで「宅配便問題」への利用者の対応は2つある。1つは具体的な対応で、これにはピックアップ・ポイントの増加と、方法の多様化を図ることだ。もう1つは根本的な問題の解決である。宅配便に限らず、ネット通販の当日配送、コンビニ店の24時間営業、小売店の正月3が日開店、その他、現在、自分たちが享受しているサービスや利便性が、本当に必要なものなのか、それとも過剰ではないのか、といったことを再検討することの必要性である。

 たとえば通販の当日配送にしても、日本通信販売協会の「ジャドマニューズ(3-4月号)」によると、宅配サービスに関するアンケート調査で、配送サービス重視点のなかで「当日配送」という回答(複数)は4%に過ぎない。つまり当日配送指向は、小売型ネット通販会社が在庫回転率を高めたいという自社都合なのである。

 「宅配便クライシス」は、その他のサービスや利便性も含めて、本当に必要なのか、過剰なのか、少子高齢化が進む今後の日本の在り方も見据えて、再検討するキッカケにすべきなのである。

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