HCCという考え方
日本郵便が来年3月から「ゆうパック」を100~200円値上げするという。ヤマト運輸は10月から140~180円、佐川急便も11月から60~230円値上げする予定だ。これで宅配便大手3社がそろって値上げすることになる。
いち早く値上げや時間帯指定見直しなどを公表したのはヤマト運輸だった。それを受けてネット通販と宅配便に関連する話題を採り上げようと、今年3月あるテレビ番組の打ち合わせをした時のことである。制作スタッフの1人が、「ヤマトが値上げすると佐川と郵便はどのように動くでしょう」と聞いてきた(その時点では佐川急便も日本郵便も値上げなどについて発表していなかった)。
そこで、「佐川は値上げで動くでしょう。郵便は建前では値上げというでしょうが、本音では単価よりもこの際にシェアを拡大したいというのが本音でしょう。しかし、値上げせずにシェア拡大に走り、荷物が大幅に増えると物理的な処理能力に限界があるでしょう。もう1つは親会社の日本郵政がオーストラリアの物流会社トールの買収で大きな損失を出しているので、親会社の意向がどうかという問題がある」と答えた。
その番組は事前打ち合わせだけで、ある事情から収録直前で中止になったので、当然、放送されなかった。それはともかく、日本郵便も宅配便を値上げというニュースが流れた日の夜に、物流業界人8名(自分も含め)が集まったある会合で、ネット通販と宅配便が話題に上った。
料金とサービスの関係についての話の中で、LCC(ローコスト・キャリア)的な発想もあるのではないか、という意見が出た。スタンダードなサービス内容と価格を基に、このようなサービスを付加したら料金はいくらプラス、という考え方である。
それなら逆に、最初からHCC(ハイコスト・キャリア)という経営戦略もあるのではないか。ハイコストだが、付加価値の高いサービスしか提供しない、というものである。高い料金を払ってくれる少数の顧客だけを対象にした物流サービス。法人ではなく個人対象だろうが、そのような物流市場があるかどうか、少し考えてみようと思う。
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