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2017年11月20日

保存と改進

 先週は青森、郡山(福島)、長岡(新潟)と出張し、土曜日は物流関連ゼミ学生による研究発表会で1日中カメラマンを務めた(9回目の今年は11大学が参加)。その間隙を縫って郡山から会津若松に回り1日だけ観光で過ごした。

 さすがに会津若松は歴史のある町で、その固有の条件を生かして観光に徹しているなと感じた。歴史的景観などの保存に努力していて、平日でも観光客が多いのはそのためである。会津若松の場合は、「保存」が地域活性化の重要な要素になっていると思う。

 それに対して青森には少しがっかりした。青森は久しぶりで、前回訪ねたのは少なくとも新幹線が延伸して新青森駅ができる前だった。だから新青森駅は初めてである。当初の予定では、駅の近くで昼食をとるつもりだったが、飲食店がほとんどない。ホテルがないことは予約する時に分かっていたが、駅周辺に飲食店がないとは思ってもいなかった。

 タクシーに乗って話をきくと、新青森駅周辺には商業施設やホテルなどが進出できないように規制しているのだという。「昔から青森駅を中心に商売をしてきた人たちが、新青森駅の方に客が流れてしまっては困ると政治家や行政に働きかけている」。さらに別のタクシーのドライバーも、「新青森駅の近くにホテルなどがないので、旅行客からは不便だと言う声が多い」と言っていた。

 仕事が終わってホテルにチェックインしてから、食事を兼ねて青森駅まで片道約15分ほど歩いた。夜というより、まだ夕方だったが歩いている人が少ない。シャッターが下りている建物も目立った。閉店挨拶の貼り紙がしてあるところもある。

 最初に乗ったタクシーのドライバーには息子が3人いて、いずれも東京で所帯を持ち青森には帰らないという。そこで、地元のお土産を持って奥さんと頻繁に東京に行くという話だった。このようにして地方の人口減少が進むのかと思った。そのうえ観光客の利便性など一顧だにしないで目先の既得権益を守ろうとしていたのでは、地元の衰退に拍車をかけているようなものではないだろうか。

 「保存」が活性化につながるケースと、変化に応じて「改進」しなければならない場合とがある。

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