環境適応能力
ちょうど1週間前になるが、エンゼルスの大谷翔平選手が7回1安打12奪三振で2勝目をあげた日、試合の途中までテレビで観ていた。通常ならすでに家を出ている時間だったが、朝9時に訪問するというアポイントをとっていたので、事務所に寄ってからでは大変だ。そこで家から直接行くことにしたのだが、直行だとけっこうゆっくり家を出ても十分に間に合う。時間があるので大谷選手が先発予定だったことを思い出し、家を出るまでの間、テレビ観戦したのである。
ところが、パーフェクト・ピッチングが続いていた。このままランナーを1人も出さないで試合が進むと、中座して家を出るのが惜しくなる。多少は遅刻してもかまわないから、最後まで試合を見続けるか、どうするか、という判断がつかないまま試合が進行した。まだ家を出るリミットまでは多少の時間があるという時に、ヒットを打たれたので気持ちの区切りがつき、遅刻せずに先方に着くことができた。
このままノーヒットノーランで行ってくれという願いや期待と、1本打たれれば席を立てるのにという気持ちが錯綜する、実に不思議で複雑な時間を経験することができた。その時、ふと思ったのは、監督も同じような気持ちなのだろうな、ということだった。ノーヒットノーランのままで推移すれば、投球数が100球を超えても交代させるわけにもいかない。といってシーズンは長いし、ましてや大谷選手の選手生活はもっと長い。将来を考えればムリをさせるわけにもいかない。だが、ヒットを打たれたので躊躇なく7回までで後退させることができた。変な話だが、監督もヒットを打たれてホッとしたのではないだろうか。
ところで大谷選手の潜在能力は計り知れないものがある。それは当然で言うまでもないが、それに劣らず凄いのが環境に適応する能力ではないだろうか。オープン戦のころはそれほどでもなかったが、すぐにMLBのレベルに適応した。1試合の中でも、相手を見抜いて学習し、対応できる環境適応能力に優れているのだと思う。
いま流行りの表現をすれば人間AIではないか。まさに「適者生存」であり、これからの活躍が楽しみだ。
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